↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ぐーたら無双  作者: 空木るが
1章 封罪宮『怠惰』攻略
8/140

8 エナポ祭りでブラック推奨

 

 それからしばらくは、アイテムドロップで〈治癒ポーション〉が落ちた。

 下級ばかりだが、いまのところ怪我を治せる唯一のアイテムだ。

 あればあるほどいい。安心できる。


 〈治癒ポーション〉などのアイテム以外にも魔物素材がドロップしたが、それらは一部を除いて放置だ。


『いマは使い道がないモノも多いガ、魔物素材は売れバ金にナるゾ?』


 たしかに、この手のものをほしがる人間はいるだろう。

 しかしそれが地球の生物のものじゃないとわかったとき、どんなことになるかは考えるまでもない。

 といっても、邪神が言っているのはそっちではなく、邪神やこのダンジョンが属している世界で、ということだろう。


「いらないよ。攻略したら帰るんだし、荷物になるだけだから」


 売る予定がないのだから、わざわざ不要な荷物を抱える必要はない。


『――。そうカ』

「なに、なんかいま、変な間なかった?」

『いヤ、気のせいダロウ』

「ふぅん?」


 よくわからないけれど、まぁいい。

 邪神と余計な話をしている暇があるなら、とにかく魔物を狩る。


 有用なアイテムを回収していくことも大事だけど、それ以上に大事なのは存在位階を上げることだ。


 現時点でも、いくつか上がっている。

 劇的というほどではないが、さすが存在の位階が上がるというだけあって、もろもろの能力が上昇していっている実感はあった。


 邪神が言うには、このダンジョンは全部で十階層あるらしい。

 意外と少ないんだなと思ったが、その分というべきか、一つの階層がかなり広く作られていて、また通路もたくさんあり、相当に入り組んでいるそうだ。


 そしてこれは私の知っている一般的なダンジョンと同様、下に行くほど魔物は強くなっていく。


 もともと私は、ゲームではコツコツレベル上げをして、かなりの安全マージンを稼いでから、次のエリアに移動するなりボスを倒すなりするタイプだ。


 たとえゲームでだって、そうそう死にたくはない。

 本当に死ぬわけじゃなくても、やっぱり死ぬのは怖いものだから。


 だから、レベルが上がるほど非効率になっていくとわかっていても、限界までコツコツと小さな経験値を積み重ねていく。そうしてかなりのレベル的余裕をもってボスに、そして次のエリアへと臨む。


 ここ、リアルでも同じだ。いや、リアルだからこそ、なおのこと執拗に、これでもかと安全マージンを取る。


 絶対に死にたくないから。

 痛いのもごめんだから。


 そして、宝箱のアイテムの取りこぼしもしたくないから、魔物と戦いながらフロアのすみずみまで足を運ぶ。

 やるなら徹底的にだ。


「――おっ」


 もう何体目かもわからない魔物を殴り倒し、アイテムがドロップする。

 それはすでに見慣れた形の小瓶だが、中に入っている液体の色が違った。


「緑だ。これはなんのポーション?」

『〈エナジーポーション〉だナ。飲むと意識が覚醒し、集中力が増す』

「カフェインで無理やり体を動かせって?」


 それから、〈治癒ポーション〉のときと同じように、今度は〈エナジーポーション〉が立て続けにドロップした。

 〈エナジーポーション〉ばっかり、ドロップした。

 〈治癒ポーション〉よりもたくさん、ドロップした。


「なに、不眠不休で攻略を頑張れって? ブラック推奨?」


 いやまぁ、頑張るけども。

 こんなダンジョンさっさと攻略して、元のぐーたら生活に戻るんだ!


 ちなみに〈エナジーポーション〉はとても薄いエナジードリンクの味がした。不思議だ。

 エナドリもフレーバーはいろいろとあるけど、エナジー系の飲み物はどの世界でもこれが基本の味なのだろうか。


 ◇


 それから私は、一層フロアを隅から隅まで回った。


 見つけた宝箱は残さず全部開けて、必要なものだけを回収し、下へ行く階段も見つけて、なおもその近辺でリポップした魔物を狩る。

 狩って狩って、狩りまくる。


 そうしているうちに不思議と、ここの魔物の魂ではもうこれ以上、存在位階が上がらない――というより、効率がとんでもなく悪いのだろうことが感覚的にわかったので、あらためて階段を下りて二層へと進出した。


 ◇


 二層に出現する魔物は一層とは種類が異なり、邪神の言っていたとおりに一段、強かった。

 まぁ、相変わらず近づくまではぐーたらしてるけど。……うらやま憎い。


 とはいえ、一層で徹底的に存在位階を上げ、ゲームでの動きをいまの肉体へと完璧に落とし込んだ私にとっては、一層のときと討伐難易度はそう変わらない。

 敵は強くなったけど、私も同等に強くなっているということである。


 多少の傷を負うことはあったが、どれもかすり傷だ。

 いまのところ、まだ苦戦らしい苦戦はしていない。


「白い、粉……」


 ドロップした謎の小袋。

 口を開けて中身を確認してみれば、キラキラした白い粉末が詰まっていた。


「まさか危ない粉じゃないよね? エナポには頼っても、クスリはダメ絶対だよ」

『さすがにそンなモノはドロップしナイ。毒の粉なンかはアルがナ。ソレは〈プロープルパウダー〉ダ。振りかケたモノの汚れを落とシ、清潔にシテくれル』

「なにそれ神アイテムじゃん」


 試しに一掴みして頭から振りかけてみた。

 魔法的なアイテムゆえか粉っぽさはなく、すぐに消えてしまった。


「おぉっ! ほんとにきれいになってる!」


 しかも、シャワーを浴びたようなすっきりとした爽快感まである。

 神アイテムすぎない? ものぐさな人間にとって救済でしょこれ。ダンジョン攻略にもうってつけである。


 この世界、便利なもの多いなぁ。


 そんな便利アイテムを獲得しつつ、一層同様、フロアのすみずみまで探索し、宝箱を開けつつ、魔物をひたすら倒して存在位階を限界まで上げてから、三層へと下りる。


 ちなみに、まだ武器はドロップしない。宝箱からも出ない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。