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VRMMORPGプレイヤーがダンジョンマスターになった  作者: minaira


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Elementals World Online

不定期更新です。修正しつつ小説を書いていくので、タイトルや内容が変わることがあります。感想はあまり返せないと思います。

 小学生の頃、VRゲームというものが話題となった。

 まるでゲームの世界に入り込んだような仮想の感覚を味わうことができるらしい。

 新型のゲーム機ということもあり、今までのゲーム機の倍以上の値段で販売された。

 そのVRゲームを友達に借りてプレイしたことはあったものの、高価なものだったので買うことはできなかった。

 小学校を卒業し、中学生活を送っていると、携帯でプレイしていたあるゲームのイベント抽選で、VRゲームの一つであるVRMMMORPGが当選して家に送られてきた。




 

 

 ゲームを起動させると、微睡みの中に沈み込むような感覚がした。

 そして、正面には真っ白な髪の少女が立っていた。

「私はあなたと契約する精霊です。あなたから命名されることで契約は完了します。まず、あなたの名前、次に、私の名前を言い、『契約する』と宣言してください」

 この《Elementals World Online》――略して《EWO》――は、その名の通り、精霊が登場する。プレイヤーは精霊と契約することでその力を借りことができ、精霊はプレイヤーから魔力をもらうことで高次の存在へと効率よく成長できるらしい。

 精霊の種族、性別、容姿、性格はランダムで決まるが、リセットすれば何度でも再選択できる。

 どんな精霊でも強さは変わらない――本音はやり直すのが面倒だった――ので、ミストは最初の精霊を選んだ。

「俺の名前はミスト。君の名前はメリル。『契約する』」

「契約完了です。ではミスト、私の精霊属性を決めてください」

 精霊属性は、火、水、風、土の四種類だ。この四つの中からプレイヤーは自分の好きな精霊属性を一つだけ選ぶことができる。

「水にする」

 ミストがそう言うと、メリルの白髪は深い海のような青髪へと染まっていく。

 精霊属性によって髪の色が変化するようだ。

「今から《EWO》のエルアド教会へと移動します」

 メリルが腕をまっすぐに伸ばすと、その先に水色の装飾が施された門が現れる。

「さぁ、ミスト。行きましょう」

 メリルと共に、ミストは門へと向かった。






 門を通り抜けると、メリルとミストは教会の祭壇のような場所にいた。

 ミストが周囲を見ていると、一人の神父から声をかけられる。

「エルアド教会へようこそ。何をすれば良いかわからないときは、教会の左隣にある冒険者ギルドに行くといいでしょう。そこで様々なクエストを受けられますよ」

 何をするか特に決めていなかったミストは、冒険者ギルドに行くことにした。

 ミストは神父に礼を言い、メリルと二人で教会を出る。

 そして、賑やかな声で満ちている冒険者ギルドに入る。

 PTメンバーを募集する人やただ周りの人と雑談している人など、大勢の人が冒険者ギルドにいた。

 ミストは新規冒険者受付と書かれたカウンターにいる女性に、そのカウンター前に置いてあった新規冒険者登録用紙を記入して渡した。

「冒険者の登録ですね。少々お待ちください」

 しばらく待っていると、その女性から金属製のプレートを渡される。

「この冒険者カードには、名前と冒険者階級、クエストの達成数と失敗数が表示されています。冒険者階級は、10級から1級の順に高くなり、より難易度が高く、報酬が良いクエストを受けられるようになります。クエストはその冒険者階級以下のものを受注できます。進級の条件は、現在の階級のクエストを失敗せずに、一定数達成した後に受けられる昇級試験を合格することです。昇級試験を受けられるようになれば、冒険者ギルドから通知がありますので、階級を上げたいのなら昇級試験の申し込みを行ってください」

 冒険者カードについての説明を終えると、受付の女性はカウンターの下からポーチを取り出して、ミストに渡す。

「そのポーチの中には、回復薬が三つと10000ソルが入っています。新規冒険者の方には、このポーチと武器、防具をお配りしてます。武器と防具は冒険者ギルドに隣接している訓練場にてお受け取りください。訓練場では、常駐している教官から様々な指導を有料で受けられます。また自主的に訓練する場としてもお使いください」

 ミストはポーチを身につけ、武器と防具を受け取るために訓練場へと向かう。

 ミストの隣を歩いているメリルは尋ねる。

「どの武器を使うか決めているのですか?」

「オーソドックスに長剣と盾にしようと思う。MMORPGだったらDPS(Damage Per Second)が一番高い武器を使うんだが、このゲームはVRMMORPGだ。だから、長柄武器のハルバートなどはリーチがあって良いんだが、狭い場所だと扱いづらい。長剣はある程度狭い場所でも扱えるし、斧や打撃武器に比べて腕力と体力を使わない。刃を立てて動いている敵を切るのが難しいという問題もあるが、この技量の問題は年単位の鍛錬で補えるだろう」

「それで長剣と盾ですか。魔法もありますけど、どうします?」

「魔法はこの町にある図書館で調べてから考える。現実世界で魔法なんて使えないし、ゲームによって魔法の設定が変わるから後回しだ」

 ミストとメリルは訓練場に着いたので、話しを止め、新規冒険者用に配布していると思われる武器と防具を管理する教官にミストは話しかける。

「冒険者ギルドに登録して、配布されるという武器と防具を受け取りに来ました」

「……おぉ?」

 ミストに背を向けていた教官が振り返る。

「なんだ。新人か。それなら、そん中で好きなのを持っていきな。それと、冒険者で敬語を使うやつなんてほとんどいないぜ。悪目立ちしたくなければ、普段通りに話しな」

「ありがとう。それならそうさせてもらう」

 ミストは鉄製の長剣とカイトシールド、革製の防具を選んだところで、先ほどの教官がやってくる。

「――ほぉ、長剣を選んだか。俺が教えてやろうか?」

「ああ、よろしく。ちょうどここにいる教官の誰かに頼もうとしていたところだ」

 ミストの返事を聞いた教官はメリルにも話しかける。

「嬢ちゃんも冒険者になったのか?」

「いいえ、私は水の精霊です。契約者であるミストに協力はしますが、冒険者ではありません」

「……動物型の精霊はよくいるが、人型の精霊は珍しいな」

 教官は驚いた表情を見せる。

「まぁ、いい。それで、ミストっていう水の精霊使いはそっちの坊主か?」

 ミストは頷く。

「最近、急に精霊使いが増えたもんだなぁ……」

 教官が呟いた。

 おそらく、《EWO》を始めたプレイヤーのことを言っているのだろう、とミストは思った。

 プレイヤー全員が精霊と契約するため、必然的に精霊使いは増える。

「新人冒険者は、冒険者登録後の一ヶ月、教官から無料で指導を受けられる。だから、始めの一ヶ月は集中して鍛錬を行った方がいいぞ。……まぁ、大抵の新人は面倒くさがってそもそも指導を受けないか、数日で飽きるがな」

 《EWO》が現実世界より10倍速く時間が進むとはいえ、最初期の町エルアドに残って一ヶ月も訓練するプレイヤーはほとんどいないようだ。魔物を倒してレベルを上げるか、クエストを達成するなどしてソルを稼ぎ、性能が高い装備を買う方が簡単に強くなれる。

「まずはその剣で素振りだ。木剣でやってもいいんだが、重さも剣の長さも違う。だったら最初からその剣に慣れるといい」

 ミストは先ほど選んだばかりの長剣を手に取り、教官に言われた通り素振りをする。

 教官に途中で何度も修正してもらいながら、ミストは素振りを続ける。

 メリルは特にすることがなかったので、ミストの姿を眺めていた。

「――よし。余分な力が抜けて、だいぶ様になってきたな。明日から毎日その調子で素振りしろ」

 休憩を挟みながら、ミストは数時間にわたって素振りを続け、ようやく今日の指導は終わった。

 訓練場を出て、通りを歩きながら傍らにいるメリルにミストが話しかける。

「メリル。魔法について調べるために図書館に行くぞ」

「わかりました」


――エルアドの図書館。

 そこでミストは魔法について調べていた。

(魔法を習得するには、魔法の情報が幾何学的に描写された魔法陣というものを見る必要があるらしいな)

 ミストはその魔法陣が大量に掲載されている《基本魔法書》を本棚から取り出して流し読みすると、《基本魔法書》の魔法を全て習得した。

(レベルを上げて魔力(mp)を増やさないと実際に使えない魔法が多いとはいえ、簡単に魔法が使えるようになるのはゲームだからか?)

 ミストは魔法の習得方法が簡単すぎると思いながらも、興味を惹かれる本を探す。

――ふと、新しい魔法の開発について書かれた本が目に入る。

 その本によると、まったく新しい魔法を開発することはおろか、既存の魔法を工夫することもできないらしい。

(システムに登録された魔法をそのまま使うしかないってことか)

 しかし、ミストは魔法陣の開発に興味を持った。

(魔法を習得できなくても、複雑なパズルみたいで面白そうだな)

 ミストが魔法陣についての本を読んでいると、いつの間にかミストの隣にいたメリルに話しかけられる。

「そろそろ日が暮れそうです。図書館の閉館時間も近いので、宿に向かいましょう」

「そうだな。メリルも借りたい本があるのか?」

「はい」

 メリルの返事を聞き、ミストは魔法について書かれた本を数冊手に取る。

 そして、二人は本を借りると宿屋へ向かった。

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