15話 あの日の続き
2章スタートです。よろしくお願いします。
僕の想いを伝えてから初めてクラリスさんに会いに行く。あの日は彼女を屋敷に送り届けて、そのまま「また来ます」とだけ言って僕も家へ帰った。クラリスさんは「お待ちしています」と言ってくれた。だからきっと、本当に僕を待っていてくれている。気持ちは受け入れてもらえなくても、拒絶されているわけではないということだと思った。
だからいつもと変わらない笑顔で「こんにちは」と会いに行きたい。
ベルモント領へ向かう街道には、初夏を感じさせる眩しい陽射しが降り注いでいる。馬車が停まるとクラリスさんの住む屋敷へまっすぐ向かう。呼び鈴を鳴らすのは少しだけ緊張した。
「クラリスさん、こんにちは」
「ノエル様。……ようこそいらっしゃいました。中へどうぞ」
少しだけぎこちない空気が流れる。でも、クラリスさんの胸元にはあの青が今日も揺れていた。
「ノエルさんいらっしゃい!お姉さんよかったね。ちゃんと来てくれたじゃん」
奥から出てきたリリアさんが僕を見るなりクラリスさんにそんなことを言う。その瞬間クラリスさんは耳を赤くして勢いよく振り返った。
「リリア!変なこと言わないで!」
「えー?お姉ちゃんが言ってたんでしょ。もうノエル様は来てくれないかも、って落ち込んじゃってさ」
「えっ……」
思わずクラリスさんを見る。
僕がもう来ないかもと、落ち込んでいた?それで、今日僕がきてよかったと思ってくれている?
突然のリリアさんからの言葉で、僕の胸は勝手に温かくなり、心が躍りだす。
「もう、リリア!!」
クラリスさんは赤くなった頬を両手で押さえながら顔を隠すように俯いている。
「ノエル様、ごめんなさい変なこと聞かせて。どうぞ、中で座りましょう」
「えー?本当のことなんですよノエルさん。お姉ちゃんが何を心配してたかは知らないけど、いつでも来てくださいね。毎日でもいいくらい!」
クラリスさんが止めてもリリアさんは勢いそのまま続けている。そろそろ僕から止めようかな、と口を開きかけると、またもとんでもない発言が飛び出してくる。しかも次は僕に対して。
「素直に嬉しい!って抱きつくくらいしたってノエルさんは怒りませんよねぇ?」
「それ、は……」
クラリスさんが僕の胸に飛び込んでくる。想像しただけで破壊力がすごかった。僕も耳まできっと真っ赤になっているだろう。
「あっ。じゃあ私お父さんのところ行くね!じゃあノエルさんごゆっくり」
リリアさんは真っ赤になった僕たち二人を置いて、ささっと屋敷の奥へ引っ込んでいった。
「……本当に、ごめんなさい」
「……いえ、大丈夫です」
しばらく黙ったままだったが、ようやく絞り出した声はどちらも掠れていた。




