炭酸飲みたい
「佐藤。」
「なんだ。」
「あの箱、光ってる。」
「自販機な。」
「じはんき。」
まぁそりゃ初めてだよな。
「中に飲み物があるの?」
「ある。」
「店員は?」
「いない。」
「誰が売ってるの?」
「機械。」
何だろう、新鮮だな。
こういう感じ。
ただ、早く家に帰りたい。
なるべく早くしてほしい。
「……機械が?」
「そう。」
「人がいないのに?」
「そう。」
「お金を盗まれないの?」
「箱の中だからな。」
「飲み物を盗まれないの?」
「箱の中だからな。」
「箱、強いのね。」
「まあ、そういう理解でもいい。」
自然に考えるとそうだな。
なんかこう、ちょっと面白えな。
『大昔の人が現代の物を見たらどうなる!?』みたいな
ある不特定多数の人に人気そうな番組。
てか、これ普通に歴史に残るのでは?
お金持ち....じゃない。
俺第一発見者として歴史に残るのでは?
と、考えたが、正直冨も名誉もぶっちゃけどうでもいい千秋だった。
「これは何ぞ。」
「値段。」
「銭を入れなば、飲み物を得らるるか。」
「そう。」
「人は何処に隠れたる。」
「いねえって。」
「されど、銭を受け取り、品を渡す者なくして、いかで商ひをなす。」
「機械が全部やるんだよ。」
「……この箱が商人なりや。」
「違う。」
「されど商ひをす。」
「そうだけど違う。」
てか、ここまで来るとドラマの撮影でも、
B級映画の撮影でもなさそうだな。
あとさっきからこれ言ってることあながち間違いではないのでは?
「これ、何?」
「お茶。」
「これは?」
「コーヒー。」
「これは?」
「水。」
「これは?」
「炭酸。」
「たんさん?」
「飲んだら分かる。」
「じゃあ、これ。」
「買う金あるのか?」
「ない。」
「だろうな。」
「佐藤は?」
「あるわけねえだろ。異世界の金しか持ってねえよ。」
「我に銭あり。」
当てます。平安貴族はこの国では使えない金を持っていて、
それで俺がしかたなーく出すことになるでしょう!
「待て。」
「これを用ゐよ。」
「使えるか!」
「銭なり。」
「日本円じゃねえ!」
はい、確定!
「銭に国の別あるか。」
「あるよ!」
「銭なるに。」
「その反応、現代日本に来た平安貴族としては妙に正しいの腹立つな。」
で、ここで俺が言う。
「……俺、出しますよ。」
俺のことガン見すな。
一ミリは恥ずいから。
お前らが自販機で飲み物買おうとして、金なくて、
それをガン見する俺の気持ちな。
「え。」
「(たかが)飲み物くらいなら。」
「ありがとう。」
「いや、まあ……。」
エルフに感謝されるのってかなり新鮮だな。
てか、予想通りで草。
「食ひたり。」
「食ってない。」
「銭、消えたり。」
「入っただけ。」
「何処へ。」
「中。」
「見るな見るな。」
見ても大丈夫だしいいでしょおっさん。
「これ押したら出ます。」
「これ?」
「はい。」
「!?」
wwwwwwwwww。
「何ぞ!」
「飲み物です!」
「襲はれたるかと思ひたり!」
「自販機に!?」
待ってw、おもろ過ぎて死ぬぅ!
「……あった。」
「だから出るって言っただろ。」
「冷たい。」
「そりゃ冷えてるからな。」
「箱の中で?」
「そう。」
「冷やしてるの?」
「そう。」
「この箱、すごくない?」
「日本人は見慣れすぎて何とも思わねえけど、冷静に考えたら割とすごいな。」
人間の欲しいという欲は偉大だねぇ。考えて見たら確かにすげぇな。箱。
「……どうやって開けるの?」
こんなタイトル。
『おっさんが教える、缶ジュースの開け方』
....うん。絶対視聴回数ゼロ。
いや?一周回ってバズったりもするかもな。
「こう。」
「今、鳴った。」
「炭酸だから。」
「危なくない?」
「危なくない。」
「本当に?」
「振ってなきゃ大丈夫。」
わーなんかやけに警戒心の高い
原始人に一瞬見えたわ
「――っ!」
「痛い!」
「炭酸初見はそうなるよな!」
「舌が痛い!」
「でも毒じゃねえから!」
「……痛い。」
「……でも、おいしい。」
「気に入ってんじゃねえか。」
炭酸はいいぞぉ(多分)
あれ待って。
俺、炭酸飲めたっけ。
「少年。」
あ、飲めないわ。
終わったぁ。
「……はい。」
「我も買ひたし。」
「まあ、一つくらいなら。」
エナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲みたいエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲みたいエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲めないエナドリ飲みたい...
「茶あり。」
「ありますね。」
「これを。」
エナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリエナドリ
「来たり。」
「来たっていうか落ちてきただけです。」
エルフに感謝されるのも新鮮だけど、
平安貴族が自販機で冷たいお茶買う方が新鮮だわ。
「冷たし。」
と呟く。
「冷たいお茶です。」
「茶を冷やすか。」
「そこからか。」
「茶は温かくして飲むものならずや。」
「日本じゃ冷たいのも普通に売ってる。」
「…………。」
「どうだ?」
「茶なり。」
「そりゃそうだよ。」
「されど、冷たし。」
「見りゃ分かる。」
『平安貴族が初めて飲む冷たいお茶の瞬間【ガチ平安貴族】』
これは普通に伸びそう。編集次第で。
「悪からず。」
「順応早えな。」
あー、全く。お小遣い毎日500円の俺から取り立てやがって。
「じゃあ、今度こそ行きますよ。」
「うむ。」
「はい。」
「頼む。」
「少年。」
面倒臭いことの予感。
「……今度は何ですか。」
「何故、戸ひとりでに開きたる。」
「…………。」
(ため息)
「まだ家、遠い?」
「急に遠く感じてきました。」
*
「…………。」
平安貴族が自動ドアで遊んでる。
(ガキだなー)
「おい。」
「何ぞ。」
「遊ぶな。」
「遊びにはあらず。」
「じゃあ何してんだよ。」
「仕組みを確かめたり。」
「分かったか?」
「妖術なり。」
「諦めんなよ!」
エルフの追い込みボケ!
「魔法じゃないの?」
「お前まで乗るな!」
イライラ度が50溜まった!
「センサーです。」
「せんさあ。」
「人の近づくを知るものか。」
「まあ、そんな感じです。」
「目もなきに。」
「あります。というか……いや、説明難しいな。」
「ようこそ、説明する側へ。」
「嫌な歓迎しないでください。」
まぁ、別に俺はいいと思ってる。
「あ、すみません。」
「……とりあえず。」
「目立つことはしないでください。」
「目立つ。」
「もう無理じゃね?」
「言わないでください。」
「早く行きましょう。」
「悪いな。」
「何がです?」
「巻き込まれて。」
「佐藤さんが謝ることなんですか。」
「俺らの神がやらかしたからな。」
「佐藤さんの神なんですか?」
「担当ってだけだ。」
「神様にも担当とかあるんですね。」
「俺も死んで初めて知った。」
「……死んで?」
「あ。」
「…………。」
「…………。」
「まあ、その話は長くなる。」
「気になるところだけ置いていかないでくださいよ。」
「俺ら全員、一回死んで異世界に転生してんだよ。」
「全員?」
「俺と貴光はな。エレノアは向こうの人。」
「……本当に異世界人なんですか。」
なんとなーくもう分かってたけども。
「俺からしたら、今いるここも異世界だけどな。」
まぁ、そりゃそうか。
...俺も行ってみたいな。異世界。
大変かもだけど。
まぁ、ゲームでどうとでもなるわw
「千秋。」
「はい?」
「さっきの神の話なんだけど。」
「はい。」
「オレンジエナジーのブドウ味って、知ってる?」
「知ってますよ。」
「実在すんの!?」
「え、そこに驚くんですか?」
「名前からして神が今作った飲み物だと思ってたわ!」
俺もあのエナドリはネーミングセンス終わってると思うけど。
「普通に売ってますけど。」
「普通なのかよ……。」
「……うまい?」
「オレンジとブドウの味がします。」
「それ以上の情報くれよ!」
それ以上でもそれ以下でもないもののどこを説明しろと?
しかも俺飲んだことないし。




