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33話・最終話・あとはシャル宜しくね!


「ナツさまが結婚……? うそぉっ」

「嘘じゃないよ。ほら」


 シャルが振り返ったのでナツが苦笑しながら、左手を掲げて見せた。薬指には結婚指輪がはめてある。わたしの首に掛かっているリボンに通したリングとお揃いの物なの。いいでしょう。

 実はね、わたし達結婚しました。お父さまは呪いが解けてから国をあげての挙式にしたかったみたいだけど、すぐに横槍が入った為よ。魔女を倒したことをファラルが中央神殿に報告したら、偽アロアナの行動で聖女の加護が失せたと落ち込んでいた大神官さまが、事の真相を知って大喜び。


 実は当代聖女の力が失われると、次代の聖女が現れるはずなのにその傾向がなく、そわそわしていたらしいのよねぇ。

 神の許しなく聖女が処女を失うと、国に災いが起こると信じられているせいもあって毎日、どきそきそわそわしていたみたい。


 そこで猫のままのわたしを保護して神殿預かりにしようとしていたみたいだけど、断固拒否したわ。だってナツと引き離されちゃうなんて嫌だもの。だからお父さまに泣き付いて結婚しちゃうことにしたの。


 神殿側は次の聖女が見つかるまでの保険として、それまでわたしの聖なる力が失せるようなことはしないようにと、ファラルをお目付け役に宛がってきた。

 挙式自体はこじんまりとした小さなもので、参列者はお父さまに、宰相、ガイムにオウロと領主館の使用人達のみ。一国の王女としては慎ましやかな式となったけれど、今はこの領地内にある神殿長となったファラルに寿いでもらって夜中に式を挙げた。


 とても素敵な満月の夜だった。二人にとって忘れられない日となった。


「そんな……!」

「おい、シャル」


 シャルは何度も諦め切れないように、ナツの左手の薬指を見てその場に崩れ落ちた。それをガイムが受け止める。


「ナツ。済まない。シャルにはオレが説明するから」

「……ナツさま。チョコちゃんとお揃いのリングなのですね?」


 シャルが目ざとく見つける。わたしの首から下がっているリングがナツのものと同じだと。そしてその事によって嫌でも気が付いたみたいだった。



「アロアナ姫は魔女でしたけど、本物のアロアナ姫はひょっとして……?」

「ごめん。今まで隠してきたけど、チョコはアロアナなんだ。魔女が彼女の振りをして色々やらかしてくれたけど、彼女は猫の姿となっても俺の側にいてくれたんだ。そんな彼女を俺は裏切る事はできないよ。きみの気持ちは嬉しいけれど」

「そうでしたの。とても敵いませんわね。ナツさまとチョコちゃんはずっと互いを思いやってきたのですね」



 ナツの告白に、シャルはようやく敗北を悟ったみたいだった。


「……分かりましたわ。わたくしはお二人のとんだお邪魔虫でしたのね。恥ずかしい」

「シャル」


 深く息を吐いてからシャルが納得したように言う。その彼女の肩をガイムが優しく抱いていた。従妹の恋を応援していただけに彼も思うところはあるのかもしれない。



「お兄さま。今夜はわたくしに付き合って下さる? 今夜は思い切り飲み明かしたい気分ですわ」

「何言っているんだ? シャル。おまえはまだ未成年だろうが。お酒は早いから果実水でな」

「はあい」



 仲良く肩を組んで馬車の方へと歩き出した従兄妹を見送って、わたしはホッとした。シャルは綺麗な子だったし、ナツと一緒にいるところを見て苛々させられたから。これでわたしの心の平安は保たれるはず。


「さあ、行くか? チョコ」

「ニャアン」


 最愛の男性とは一応、未だ清い仲。ナツといちゃいちゃするのは好きだし、このままでも全然、問題ないかな。夜の方はちょっと盛り上がっちゃって一歩手前まで行ってしまう事が度々あるけど、それによって失う日が来ても不可抗力よね? 


 だって次の聖女いるもの。本人はまだ自覚なしだけど、そろそろ自覚してもいい頃かしら? 気が付く前に手の早い従兄どのにご指南されないといいけど。


 ちょっと一抹の不安を感じるから、神殿に明日にでも報告しようっと。ナツの我慢もそろそろ限界だと思うし、わたしもそろそろ本当の意味でナツのお嫁さんになりたいしね。


(これから色々と大変になるかと思うけど頑張ってね。シャル。あとは宜しくね!)



 わたしは遠ざかる彼女の背に心からエールを送った。




作者のつぶやき◇


 感想が44件も頂いて嬉しい作品となりました。高評価されるのも嬉しいですけど、感想ってそれだけ感心を持っていただけたようで楽しかったです。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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