嘘は一つもついていないよ
嘘だと思うのなら今すぐあの鉱山に行って適当に掘ってみるといい、たぶん簡単に魔鉱石とか宝石が見つかるだろうから、僕がそう言ってしばらくした後町長達はふらふらとよろめきながら去っていった。
それから少しした後、親友と女共も食べ物を用意すると部屋から出ていった。
部屋の中に残されたのはいまだに何も言わないあの女と僕だけになった。
「ねえ君、そろそろなんか言ったらどう?」
どうせ何も答えないんだろうと思っていたけど、そんな予想に反してあの女はのどを小さく震わせた。
「……さっきの話は、本当か?」
「嘘は一つもついていないよ」
どの話の事かは分からないけど、一度も嘘を吐いてはいないのでそう答えた。
あの女は僕の顔を呆然と見上げる。
その目には、先程クソ地竜に投げつけられた直後に浮かべたものとは少しだけ違う絶望がこびりついていた。
「じゃあ……ほんとうなら……姉さんや……私の友達が殺される必要も……なかった……のか?」
「そういうことになるね」
彼女の顔が歪んだ。
泣くかな、と思ったけど彼女の目は少しうるんだだけだ。
「ち、くしょう……ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう……!!」
彼女が顔をクシャクシャに歪める、瞳に涙がたまって、それでもそれを流すことはない。
ああ、なんてかわいげのない女だろう。
そう思った僕はなんとなく彼女を抱きしめた。
それで頭をポンポンと軽くたたく。
姉上様が少し前に自分の娘にそうしていたのを思い出して、そうしたほうがいい気がしてそうした。
肩に水滴が落ちた、すぐ近くから幼い子供のような嗚咽が聞こえてくる。
僕はただ何も言わずに彼女の体を抱きしめていた。




