元日! 初詣☆
あけましておめでとうございます!
まだスピンオフで描いていない子達もでてきますが、基本は幼馴染’sです
本年もよろしくお願いします^^
「…ん」
「おい元也、そろそろ起きろ」
なんだか優しい声が聞こえてくるけどもうちょい寝てたい…。
「もぉちょっと…」
寝ぼけながら答えると、向こうでちょっと笑っている声が聞こえる。
それが幸せで…
「おーい、さっさとおっきっろ!!!」
そんな幸せは、馬鹿な河野のせいでぶち壊しだ。
「ふざけんなよな…」
「うっわ、つれねぇなぁ」
河野はあい変わらずハイテンションだ。
見てるこっちがテンションが急降下するぐらい。
「おまえ、松山先輩は?」
「んー、まだ寝てたので章たちを迎えに来た!!」
まだ寝てたって……
じとっと見ると河野は笑ったまま「昨日除夜の鐘聞くって言って先輩聞かなくって」と言った。
「先輩低血圧だし夜遅いのとか駄目なタイプらしいんだけどなー」
なんでそんなことまで知ってんだよ!という突っ込みはしないでおこう。そのあたりを聞くとちょっとまた面倒くさそうだし。
「迎えにって…先輩放ってきてよかったのか?」
「あー、昼に戻れば問題ないよ。
絶対寝てるし」
「…なんでそんなに自信満々なんだよ…?」
「まぁ経験の差ってやつだな」
馬鹿らしい。
そう思ったのは俺だけじゃなくて章もだったようだ。
俺と章は顔を見合わせてちょっとだけ苦笑いを交わした。
「おーい、ラブラブしてないでさっさと行こうぜ?」
「ラブラブしてるカップルのところに堂々と入るなよ」
「お前ら二人ともうるせえ」
章は河野とともに軽口を叩き始めたので急いで出かけられる準備をする。
「うわっ、さみぃ…」
外にでると息が白くなった。
神社のほうに向かう人たちがちらほらいる。みんな寒そうだ。
「元也、おまえマフラーは?」
「あー…昨日濡れちゃってまだ乾いてないんだよな…」
久しぶりに積もった雪で遊んでいたらびしょ濡れになってしまったのだ。いちおう干してはみたんだけど我が家も章の家も風呂場などに乾燥機能はついていないので乾かなかった。
「…がk「何、河野。新年早々初喧嘩かな?」いやぁ…」
絶対こいつ今ガキって言おうとしただろ!
睨み付けても河野はへらへらと笑っている。…知ってるよ、幼馴染達の間で俺の睨みはまったく怖くないと評判な事くらい!!
「何子どもみたいないい争いしてんだ?
ほら…風邪引く。これでもしてろ」
章が呆れたように俺に自分のマフラーを貸してくれる。
うわ…彼氏のマフラーとかやばい、俺乙女みたいだ…考え方キモい?
「うっわ、マジで元也やばいだろ。
なにその恋してます!って感じのオーラ!リア充爆発しろ!」
「なっ…ばか!自分だって恋してるくせに!!」
「はいはい、二人ともそろそろやめろ」
何か…俺と河野と3人でいるときは章が保護者みたいだ…。
でも、と章の方を見ると章も俺のほうを向いて「何?」というように首をかしげた。
「章…章も寒いでしょ…?俺、平気だよ」
章が首に巻いてくれたマフラーをはずそうとすると、章は俺の頭をぽんぽんと叩いて笑った。
「大丈夫、お前の方が風邪引きやすいんだからしてなさい」
その笑顔におもわず下を向いて赤くなると、それをみていた河野がまたはやし立ててくる。
「うっわぁ…マジで恋するリア充じゃん。雪が解けるレベルで熱いですねぇ」
「うっせえ!!!!!!!!」
思い切り河野の腹に蹴りを入れておく。
それからまた章がため息をついて「さっさと行くぞ」と促してきたため急いで神社の方へ出発した。
「うわぁ…人多い!」
「まあ元日だし」
いつもは全ッ然人がいないような神社なのに今日はちょっと気を抜いたら章たちとはぐれちゃうレベルで人がごった返していた。
かなり長い時間だったけどちゃんと並んで参拝を済ませる。
「あっ、おみくじ!おみくじしようよ!!」
「おー、いいな!!」
「……本当に子どもみたいだな」
章の小さい呟きは聞こえなかったことにしておこう。
俺と河野は競うようにしておみくじの方へダッシュした。
売り場の方へ行くと、なぜか人が集まっている。
「あっれ?なんか買おうとしてるのとは違うみたいだけど…」
「何かあったのか…?」
野次馬、とは言わないでほしい。
それでも人が多いと何があるんだろうと気になるのは人の性!
ということで、俺と河野はその野次馬達の真ん中にあるものを見ようと人と人との間を縫うようにして前に進む。
「あっ…会長たち!」
そう、人々が立ち止まってまで見ていたのは生徒会の皆様。
風紀委員長もいて、ちらっと河野のほうをみてみると何も知らないらしくポカンとしている。
「ん…?あぁ、3人で初詣でもしてたのか?」
すぐに気がついた会長が声をかけてくる。
…やばい、俺たちにまで注目が集まってきてる。
「珍しいメンバーだね」
副会長がそう言っていつもはない位に機嫌が良さそうに微笑んでくる。…何があったのかしりたい。
「いえ…そっちのメンバーの方が異色でしょう。
だって、俺たちは幼馴染だけど……」
「あぁ、まあこのメンバーは変だな」
会長が笑っておられる…!
まぁ副会長ほど珍しいわけじゃないけどこんなに上機嫌な笑顔はもう一生見られないかもしれない。
なんでこの人たちは今日はこんなにご機嫌なの……?
「…人、多い…」
あ、ちょっと違う人もいるけどそれはいいや。
章が声をかける。
「会長達、人が多いですからそろそろ移動した方が良いのでは?」
そう言うと副会長も同意する。
「そうだ、さっさと行こう。
みくじも引いたし…」
大事そうに手に持っていた紙はそれか!
嬉しそうに笑う副会長は多分かなりいい結果だったんだな…。
「それじゃ、また学校で」
会長の一声で美形団体が移動していく…。
それにあわせて人々もちょっと移動している奴もいる気がするんだけども!それはまあいい。
「俺たちもくじ引こう!」
最初の目的を思い出して300円をいれ、河野と二人で順番におみくじを引く。
「……うわぁ、俺凶…」
河野がちょっとショックみたいだ。
さっきまでのテンションがどっかに行った。
「あ…中吉…微妙……」
なんだろう、良いんだけど!
凶とか大吉とかじゃないのが本当にリアル!
「あ、章も引いたら?」
俺たちの様子をずっとみていた章に声をかけると、章は「それもそうだな」と言って自分もくじをひいた。
その紙をじっとみている章は何を引いたのか口にしない。
業を煮やした河野が尋ねる。「章、結果は?」
「……大凶」
「「え!?」」
びっくりした俺と河野に紙を見せてくる章。
確かに大凶だ……!
「うわっ、大凶引いた奴はじめて見た!!」
「河野テンション上がりすぎだろ…」
章が苦笑している。
俺がまじまじとその紙を見ていると章はそれをご神木に括りつけた。
「大丈夫、大凶引いたからこれから先は上がるしかないし」
振り向いた瞬間にそう言われて俺と河野は笑った。
もともと章は占いとかは悪いのを言われても気にしないタイプだし。
…多分だけど、俺か河野が大凶ひいてたら一日中凹んでた。
家に帰る途中、河野の携帯がなる。
「あけおめメールかな…?」
そう言って開いた瞬間、河野の表情が凍る。
「やべ…先輩からじゃん」
「は?昼まで寝てるんじゃないの?」
「うわぁ……ちょっと急いで帰る!先輩怒ってる!!」
慌てだした河野がちょっと面白い。
俺と章が笑っていると、河野はちょっと不貞腐れたように俺を見た。
「お前だってラブラブじゃん!」
「ばっか、まだ付き合えてすらいないのに!!」
「へたれ?」
「…うるせぇ……もう帰るわ!」
何を宣言したのか分からないけどそう言って河野は慌てて帰っていった。
「いっそがしい奴だなぁ」
「まぁあっちもイチャイチャするんだし、俺もそろそろ河野邪魔だなーって思ってたから丁度いい」
「んなっ…章!道の真ん中でそんなこと言わない!」
人はあんまり多くはないけど、だからと言って誰が聞いているかわからないのだ。
「…じゃ、早く俺たちも帰ろうよ」
家の中ならいいだろう?
そんなことを言われたら真っ赤になって早歩きするしかなくなる。
今年も章に手玉に取られる気がする……なんて思いながらもそれがいやじゃないんだから手に負えない。
「章っ」
後ろをくすくす笑いながら歩いている章の方を振り向くと、笑ってこちらを見てくれた。
「どうした?」
「今年も…よろしくね」
面と向かって言うと照れるけど、これは本当に思っている。
その気持ちを込めて言うと、章はいよいよ甘い顔をした。
「今年だけじゃなくて……これから一生だけどね」
本当に、そうなるといいな…
俺も知らず知らずのうちに甘々に毒されていたのかもしれない。
今度は照れずに頷き返すことが出来た。
いつか、この町を離れる日が来ても。
何度だって新しい年はくるんだから。
その「はじまり」をどこで迎えたとしても隣にはきっと章がいる。
その日を迎えるために今日をはじめたい。
そして、一年を過ごしていこう。
お読みくださりありがとうございました。
よろしければご意見・ご感想等お寄せください。
本年は河野の恋や生徒会の方々なども描いていこうと思っております。
これから12ヶ月でどこまで描ききれるか分かりませんが、どうぞお付き合いください