表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
厄災令嬢は王太子殿下の元婚約者でした  作者: はるくうきなこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/39

10ユリウス様と会う


 そこへユリウス様が入って来た。

 彼とは幼い頃一緒に遊んだ仲だったが、殿下の婚約者になってからは彼が距離を置くようになった。私も誤解を与えてはとほとんど話もしなかった。

 ユリウス様のお母様がブガリア国の辺境伯の令嬢と言う事もあって髪色は私と同じ青銀色、瞳は灰色で顔立ちは殿下とは正反対に精悍な顔つきをしている。

 王妃が亡くなってブガリア国との関係が険悪になってブガリア国の血が入っているものは何だか白い目で見られるようになった。けど、ユリウス様のお父様は長い間宮廷医をしてこられていたし、殿下はユリウス様をすごく信頼してたから今も側近のままでおられるのだろうと思った。

 それにしても前から結構冷たい感じがする人だと思ったけど何だかさらに冷たい空気を纏ったように見えた。

 市井で聞いた噂でも彼は冷酷非情な人だどと言われてました。ですが、私は知ってます。彼は殿下の事となると厳しいけど優しい人でした。

 私は思わず彼を見つめていた。



 「殿下ご容態はいかがです。心配しました」

 ユリウス様はきびきびした態度で部屋に入って来た。

 殿下はゆっくり身体を起こしてベッドに座った。

 ユリウス様は私を見ると一瞬身を引いたがすぐに平然とした顔で尋ねた。

 「あなたは?」

 彼はこんな所に平民がいる事におどろいたのだろうか?きっと私だとは気づかれないはず。なのに見知った人に気づかれないと思うのも少し寂しい気がした。

 慌てて名を名乗る。

 「わ、私は薬師のアナと言います。今日からしばらくの間、殿下の薬師として務めさせていただく事になりました」

 ユリウス様はすっとロイトン先生に視線を移した。ロイトン先生が頷く。それだけですべてを察したのだろう。

 ロイトン先生の信頼度は高いと思った。

 「そうか。殿下の事よろしく頼む」

 「よろしくお願いします」


 そう言うとロイトン先生が私を見た。

 「アナ、では私たちは引き上げましょう」

 「はい、殿下。薬湯を飲んでください」

 「ああ、次ははちみつをいれろ!」

 「その薬湯には無理です。後で甘いものでも召し上がって下さい」

 「じゃ、一緒に持って来い!」

 「私は薬師ですのでそれは侍女にお申し付けください」

 「お前‥」

 殿下が身を乗り出してユリウス様がそれを止めた。

 「殿下、お話があります。しばらくシャロン様は近づけないで下さい。それからガイアス国王代理も。殿下は感染の疑いがある病と言う事になっていますので。頼みますよ」

 「なんだそれは?」

 「先生から聞いたんですよね?毒の事」

 「ああ」

 「だったら少しは危機感持って下さいよ。殿下は感染の疑いがある病です。誰も面会させません」

 「ユリウス、毒の事は話てるんだろう?」

 「もちろんです。昨日ロイトン先生から毒が盛られたと聞いてすぐに殿下が口にされたものを調べさせています」

 「それでわかったのか?」

 「いえ、昨日殿下が口にされたものからは毒は出ませんでした。殿下、誰かから直接頂いたものを口にしてませんよね?」

 「当たり前だろう」

 「でしたら気を付けるべきです!」

 「こうなったからは、叔父上には気を付けた方がいいと思っている。だが、シャロンはいいんじゃないか?だって退屈だろう?あいつとお茶するくらいならいいだろう?」

 「殿下。まさかシャロン様を愛してるんですか?」

 出て行くつもりがユリウス様と殿下のそんな会話に思わず足が止まった。

 「愛してるわけないだろう?あれが叔父上が決めた婚約だ。ドボーヌ子爵の機嫌を取るためにシャロンを婚約者にしろと言われて‥それにあいつの母親はリラエリア伯爵家だぞ。断れるはずがないだろう!だが、あいつはただ婚約者と言うだけだ。それとも他に女を呼んでいいのかユリウス」

 「そんな事できるわけがないでしょう!」

 ユリウス様が怒るが殿下は面白がっている。


 それにしてもシャロンが婚約者に選ばれたのはそう言う後ろ盾があったからなんだ。

 叔父のドボーヌはガイアスの部下でガクセン財務局長の傘下にいる。だからシャロンは殿下の婚約者になれたって事なのだろう。

 それにシャロンは私が殿下の婚約者だと言う事をすごくうらやんでいたからやっぱり狙っていたんだろう。



 「ったく。それにしても殿下は国王代理に言われることは何でもお聞きになるんですね。シャロン様を婚約者にしてディアナ様がどれほど傷つくかなど考えもしなかった。おまけに彼女を平民にして‥ほんとにあなたと言う人は‥」

 「それとこれは話が違うだろう。ディアナの母は俺の母上を殺したんだぞ。あのまま婚約者でいられるわけがないだろう。ユリウス。お前やけに今日はきついんじゃないのか?」

 「愚痴の一つも言いたくなりますよ。ったく。毒を盛られるなんて。殿下、ほんとに俺の心臓止まりそうでしたよ!」

 「ああ、その話はもう分かった。ロイトンからも散々言われたんだ。だが、俺は決まったものしか口にしてないからな」

 「だからこそ大人しくしていてください。もう、ほんとにわかってるんですか?」

 「ああ、だからこうやって大人しくしてるだろ!」

 「ええ、数日はこのまままだ起き上がれないほどだと思わせてておくべきです。その間に我々も調べを進めますから」

 「ああ、頼んだ」

 「はい、殿下くれぐれもあなたは感染の危険がある病だと言う事を忘れないで下さい!それから殿下の担当医はロイトン先生ですので!」

 「ああ、キケルは信用ならないとわかった」

 「だから言ったじゃないですか」

 「ユリウス、もうわかった。おい、アナとか言ったな。お前、俺の薬師だろう?だったら俺の世話をしろ」

 「えっ?今何とおっしゃいました?」

 「だから、暇だから俺の茶の相手でもしろと言ったんだ」

 「申しわけありません。私、仕事がありますので殿下のお相手は出来ません。失礼します」 

 殿下の相手が出来るとでも?

 これ以上こんな男のそばにいれる訳がない。万が一わたしがディアナだってばれたら‥


 するとユリウス様が呆れたように言った。

 「殿下、わがままはやめて下さい。みんな忙しいんですから!ロイトン先生早く彼女を連れて行って下さい。まったく、油断も隙もない!アナさん、殿下の事頼みます。ですが決して一人では部屋に入らないで下さい。危険ですので」

 殿下が文句を言おうとしたがロイトン先生の方が先だった。

 「はい。では殿下、食事をして薬湯を飲んでください。まだ後で様子を見に来ますので。失礼します」

 「失礼します」

 私もすかさずそう言ってロイトン先生と部屋を出た。

 部屋を出ると大きなため息が出た。疲れた。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ