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000 プロローグ

 俺は学校から歩いて帰っているところだった。


 俺、木下翔太は高校二年生だ。今の成績こそ中の上といった所だが、なにせ運動神経が悪い。どちらかというと理屈っぽくて、運動部の脳ミソ筋肉な奴らとは真逆だ。残念ながら非リア。

 今思えば、この時は単調な日々にアクセントを求めていた。求めてしまっていた。


 部活動を終えて、家へ帰る。俺は生物部に入っているが、いかんせん生き物の命を扱う、というのが大の苦手である。解剖が全くできないし、同じ理由でエビの殻を剥いて食べることもできない。今日も周りがカエルの解剖を始めたのを見て、先にあがることにした。

 比較的交通量の少ない片側一車線の道路。ここを渡ればもう家まですぐだ。向かい側から、男の子二人がこちらへと走ってくるのが見えた。ここは横断歩道がなく、五歳くらいであろう彼らはそのまま道路へ飛び出そうとしていた。

 左方向から市バスが向かっているのが見えた。子ども達は道路の真ん中で何か話し合っている。

「危ない」

 そう感じ、道路へと駆け出す。

 普段の俺だったら、バスはまだまだ遠くにいるから、事故は起こらないと気付けただろう。しかし、退屈な日常に刺激を求めていた分、かえって素早くアクションを起こせてしまった。

 彼らはバスが近づいてきていることに気づき、機敏に動いて道路を渡りきった。これで事故は回避されたはずだ。俺も足を緩めようとするが、石につまづく。

「あっ!おっとっと」

 止まりきれず、無防備な体勢で道路へと出る。


 結局、起きたのは謎に飛び出してきた男子高校生と市バスの衝突事故だった。


 ああ、よりにもよって市バスかよ。トラックとかならワンチャン転生できたかもしれないのにな、としょうもないことを思い、意識を手放した。


 =====


 ここ、どこだ......?


 周りを見渡すが、何もない。一面真っ白の、単調な空間。


「お、目覚めましたか」

 今まで聞いたことがないほど美しく綺麗な女性の声がした。


「誰、、ですか?」


「簡潔に言えば女神、ですかね。あなたは死んだのですよ」

 唐突な死の宣告。しかし、案外その言葉はすんなりと受け入れられた。


「そうか、死んでしまったのか、、、では、何の御用で?」

 すぐに思考を切り替えてしまった。これだから理屈っぽいと...


「り、理解が早くて助かります。では伝えますね」

 ほら、戸惑ってんじゃん。普通こんなんじゃなくねって。


「あなたには、異世界に行って、世界を救って頂きたいのです」


「は?」

 神様に向かってこの言い方はヤバいか。流石に頭が真っ白だ、理解が追い付かない。言葉が出てこねえ。あ、ひとつ言うことあったわ。


「神様、市バスにはねられた場合でも異世界に行けるんですか?」


「は?」

 女神さえも呆れさせちゃったよ。


「、、、、」

 訪れし静寂。やらかした。


「ふふふ、なかなか面白いことを聞きますね。久しぶりに笑わせてもらいました」

 笑ってくれたあああああああ。マジ神かよ。いや神なんだけどさ。


「一応質問に答えておくと、私たち神は一部の”適性”のある方々の魂を引き留めて、異世界に送り込んでいるのです。”適性”のある人は交通事故に遭いやすく、特にトラックにはねられることが多いのです」

 トラックにはねられるテンプレってガチだったんだね。ちょっと感動。


「ところで、異世界に行くって、具体的にどんな感じなんですか?」


「そうですね、話を戻しましょうか。まずは、、、」


 =====


「、、、という感じになりますね。何か質問があれば」


 女神様に異世界と、俺がそこへ行くことになった理由について詳しく教わった。教えるの上手で先生とか向いてるんじゃないかと思ったね。そんなことはさておき、話をまとめると


 ・異世界は中世ヨーロッパ風のよくあるやつ。魔法もあるよ

 ・一応魔王とかもいるけど、現状そこまで脅威ではない

 ・残念ながら元の世界に戻すことはできないし、異世界に行くことに拒否権はない

 ・体格、年齢はそのまま

 ・モンスターを倒して得た経験値で、ステータスを上げ、スキルを獲得できる

 他にも色々あったが、割愛。ここからが大事で、


 ・転生者特権として、各ステータスの上限は取り払われている。要はチート

 ・適性度の問題で、スキルは同時に一つしか持つことができない

 ・すぐ死なれても困るし、笑わせてもらったから、ステータスはデフォルトで一般的なカンストの値まで強化してある


「ありがとう。概ね理解できたけど、一つ質問していい?」


「もちろんですよ」


「スキルの一枠を、”言語”などで埋められちゃったりなんてことはないですよね?」


「げ、、、、そ、そこはうまく調整しておきますね」

 明らかに動揺したな。てかあぶねーよ。あわや話が通じなくて即バッドエンドだったぞ。


「オッケー。ならもう大丈夫かな」


「一応チェックも兼ねて、ステータス欄を開いてみましょうか。”ステータス”と念じてみてください」


 念じるってなんだ?こんな感じか?


 name:木下翔太

 age:18

 lv:99[max]

 exp:0

 HP:99 / 99 MP:99 / 99

 攻撃:99

 防御:99

 速度:99

 魔法:99

 知性:99


 スキル 0 / 1

 --スキルを持っていません--


 お、ちゃんと出てきた。こんな感じなのね。レベルもmaxの99になってて、ちゃんと各ステの[max]表記も無くなってるし、表記的にスキルを一つしか持てないのもホントっぽいな。


「オッケーです。丁寧にありがとうございます」


「了解しました。覚悟はいいですか」

 声色に少し威厳を感じた。


「はい」

 もう心の整理はついた。やるっきゃねえよなあ!


「それではお別れの時間ですね。ご武運を」

 意識が薄れていく...


 女神様がつぶやく。

「ん?年齢が?もしかして留年した?」

 バレちゃった。もう俺は異世界の住人だから関係ないもんね!


「どおりで適性が弱いわけだ...」

 なんかごめんなさい。

読んでいただきありがとうございます。

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