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第4話『温かな潮風の贈り物』

### あらすじ


グレイリィと相棒の蒼白竜ルゥは、トウカイへ向かう途中でノ=ラビット、ノ=ラット、ウィルドボアを狩り、血抜きして素材を確保。


道中で盗賊に襲われるミユリを助け、彼女の営む和菓子店「サクラダ」で桜餅とお茶を堪能し、トウカイの桜モチーフの港街の温かな雰囲気を楽しむ。


冒険者ギルドで懐かしいギルドマスター・ロウダンと再会し、兄アカバネも挑んだ「流動洞窟の魔物討伐」B3~Aランクの依頼を受注。


準備を整え、グレイリィとルゥは新たな冒険へ向かう!




トウカイを目指す途中で、ノ=ラビットとノ=ラット2匹体ずつ、それからウィルドボアを倒した。


こういうものは、早めに血抜きしてしまった方がいい。


「悪いな、お前たち。命を頂戴する。」


『頂きます。』


腰に備えてある、小型ナイフで狩った動物を解体して行く。


先程まで日が真上になったのに、今は西へ傾いた頃に、森を少し抜けると、桃色の和服を着た女性が、盗賊に襲われていた。


「ルゥ、あの女性を護衛してくれ!」


『まかせてよ!』


頼もしい声にルゥは飛び向かって行った。


「おい、盗賊。今なら逃がしてやるから、さっさと去れ!」


「なんだと!?この生意気な!!」


短気な奴ら、こんな輩…さっさと蹴散らしてくれよ。


剣を抜くことも無く、体術だけで特に何もすることなく、盗賊たちは伸びた。


『さっすが、グレイリィ!盗賊たちなんて、あっという間にだったね!』


「あ…ありがとうございました!!」


安心したような笑顔、人助けはやはり悪い気しないな。


「いいえ、ご無事で何よりです。」


リズの人の人助けをした時も、こんな顔してた気がするな。


トウカイの国境が近い為、魔法の鞄から魔蜘蛛の糸縄を取り出して、盗賊たちの手足をしばった。


魔蜘蛛の糸は、服によく使われるし、こういうのにしとけば、獲物を飼った時に、手足を縛ったりできて、私は魔蜘蛛の糸を重宝している。


「私はミユリと申します。」


「はじめまして、ミユリ殿。私はグレイリィ、こっちの竜はルゥというんだ。」


「グレイリィさん、ルゥさん。あのなにかお礼を!」


お礼と言われるほどのことはしていないが。


「そうだな。なら、この街で桜餅が頂けると噂を聞いてな。そのお店を教えてくれないか?」


「そうだったのですね!なら、ウチがサクラダというお店で和菓子店をしております!」


「それは、是非とも食べたいな。ミユリ殿の護衛をするので、連れて行ってくれないかい?」


「はい!是非、ウチのお店は小さい店を旦那と構えて居るのですが、桜餅はトウカイの街で1番有名なんですよ。」


「ほう、いい話だ。」


『桜餅〜!楽しみだな〜!』


そんな他愛もない、ミユリ殿の話を聞きながら歩いていると、トウカイの国境である門に来た。


警備に冒険者である証明を見せ、何ごともなく、門を潜り抜けることができた。


身分証の代わりにもなるから、大体の人族や他の種族も、冒険者ギルドか商業ギルドに入る人が多い。


私は冒険者ギルド、ミユリ殿は商業ギルド、登録カードや、冒険者は服の胸に階級毎のピンバッチ、商業者は腕に階級毎のスカーフ付けている。



桃色、黄色、緑色を基調した港街。春色というのだろうか、色鮮やかな街並みだけど、なぜか和む気持ちになる。


華やかで温かな潮風のせいだろうか。


「んー、心地いい風だな。ね、ルゥ?」


『うん!綺麗というより可愛らしい街だね、グレイリィ!』


漁船が数多く並んでいて、市場にはたくさんの魚が売られている。


「漁船にも、花弁の模様があるんだな。」


「えぇ、この街は桜をモチーフにしていることが多いのですよ。この街の奥地に大きな桜の木があって、とても綺麗なのですよ!」


ミユリ殿に少し市場を見て回りたいと伝えたら、もちろん構わないと言ってくれて、市場を散策した。


「そこのお嬢さん!焼き魚食べていかないかい?取れたばかりの活きのいい魚だよ!」


市場の叔母様が串焼きにした魚を勧めてきた


『グレイリィ、ボクお腹減った。』


「私もだ。では、2つ頂けるかな?」


「はいよ!」


お金を叔母様に渡し、串焼き2つ受け取る。


『あむ!ん〜、美味しい!』


「本当だな、ルゥ。脂が程よく乗っていて、塩加減も絶妙だな。」


外で食べるご飯、こんなに美味しかっただろうか。


「そりゃ良かった!桜の木のチップで燻して、燻製にしているのんだよ!」


「そうか、それでこんなに香ばしいのか。」


魚料理にも桜を用いるなんて、トウカイの街らしいな。


ついでに、乾燥して干した果物や小魚を買った。


「ここが、私と旦那さんが営む"サクラダ"だよ!」


「おお、庭があるのか。これは見事なものだな。」


「えぇ、桜を眺めながら食べるのがこのお店の特徴なのですよ!」


あれ、この雰囲気見た事ある気がするな。ああ、庭は無かったが、店内は覚えている。


お祖母様とお母様と買いに来た時と変わってないじゃないか。


『わぁ、ここも桃色だ!かわいい!』


「ありがとう、ルゥくん。良かったら、お庭でお待ちください!」


庭に通してくれて、桃色の花弁の木がたくさん並び、ひらひらと舞う花弁が可愛らしくも素晴らしい。


『あはは、桜だっけ?綺麗だね!』


桜の花びらを遊ぶように飛びまわる、ルゥがはしゃいでて楽しそうだ。


「本当に。圧倒されてしまうな。」


「お茶もよかったら、召し上がってね!」


ミユリ殿がお盆でお茶を持ってきてくれたらしい。


「ありがとう、ミユリ殿。ルゥ、ミユリ殿がお茶を持ってきてくれたよ。冷めないうちに頂こう!」


『はーい!あ、緑茶にも桜があるよ!』


短い手で湯呑みを持つ、ルゥが尊いな。


「この緑茶はね、桜の塩漬けで風味を加えた自家製なのよ。」


『ゴクゴク、おいちぃ!』


「あぁ、塩味がいいな。」


たまにお母様がいれてくれた、お茶の味にそっくりだ。ここのお茶だったのかもしれないな。


「こんにちわ、グレイリィさん。」


声をかけてきたのは、男の人だった。優しそうな雰囲気がミユリ殿に似ているな。


「こんにちわ、ミユリ殿の旦那様かな?」


「はい、サクラダの店主であり、ミユリの夫です。ミユリから聞きました、妻を助けてくださったそうで。」


深々と頭を下げられて、さすがに焦った。


「いえいえ、顔を上げてください。困っている人を放っておけない性分なので。」


「感謝の意味を込めて、お茶と桜餅をサービスさせて下さい」


「え、そんな。」


「私たちの気持ち受け取ってくれないかしら?グレイリィさん」


そんな顔を2人にされては、敵わないな。


「有難く、頂くことにします。」


「妻を助けて下さり、ありがとうございました。」


感謝されるのは、素直に嬉しい。


『桜餅、甘くておいしい!』


「緑茶とあって、いいな。」


そういえば、お兄様とも来たことあって、ダンジョンに行ったこともあったな。食べたら肩慣らしでもするかな。


「また、お越しくださいね」


「桜餅のお土産まで、頂いてしまって申し訳ない。」


「いいえ、グレイリィさん。ほんの気持ちですから」


「ありがとう。」


『ミユリさん、タカヤさん!またね!』


「ルゥくんも、元気でね。」


サクラダを後にして、街を少し散策した。


「こんなお店は昔あったが、この隣はなかったな…」


そうか、こんなに時間がいつの間にか経っていたんだな。


『時間経ってお店が変わっても、終わりじゃないよ?グレイリィ?』


「そうだな、ルゥ。」


いつまでも落ち込んでいられないな。


家族にも、ルゥにも、かっこ悪い姿ばかりじゃいられない。


「ルゥ、ちょっと行きたいとこあるんだ!」


『???』




向かった先は冒険者ギルドだ。冒険者たちがギルドの木製カウンターには、依頼書が溢れて。酒と笑い声でわいわいと賑わっている。


「懐かしいな、この雰囲気。」


『冒険者ギルド、久しぶりだもんね!』


大きい依頼板がたくさんの依頼書が並べられている。


「あぁ、冒険者ギルドはカイレイ山の時以来だったな。久しぶりだからAランクかBランクの依頼にしておこうかな。」


『うん!それがいいよ、慎重に行こう!』


流動洞窟の魔物討伐。募集はB3ランクからAランクまで。割と難易度が高い、少し古びた依頼書だが、どの冒険者も触れず、傷がないから、出てから誰も受けてないんだな。


報酬も上乗せされてて、久しぶりの肩慣らしには丁度いい、ミッションだ!


「これだな。ルゥ、久しぶりに力試しだ。」


『お!いいね。ボクもグレイリィに負けないように、頑張るぞ!』


ルゥの瞳孔が戦闘モードで、気合い十分みたいだ。可愛い見た目して、戦いが好きだからな。


このギルドは昔のままだな、あの依頼受付の人、見覚えあるな。


「もし。この依頼を受けたいのだが。」


「お嬢ちゃん、もしやあの時の、グレイリィちゃんかい?」


「覚えていたのか!」


「もちろんだ、俺はギルドマスターだぞ!よくお前んとこの兄さんと言い争いしてたからな。」


あー、そういえば、ギルドマスターの"ロウダン"殿が仲裁役で、よく間に入ってたっけな。


『え、そんな意外な一面が!?』


「それに2人は数少ない高ランク冒険者だからな…例の件、大変だったな。」


「…知っているのか。」


「この仕事柄、情報が命だからな。」


「…そうだな。」


ロウダン殿であれば、この人なら知っていてもおかしくないし、冒険者たちが知って噂を流してたりしても不思議じゃない。


「お前の兄さんも、この流動洞窟を受けたんだぜ。」


「…お兄様のサイン。」


『やっぱ、グレイリィのお兄さんは凄いね!』


本当に…お兄様に負けてられないな!


「ロウダンどの、絶対討伐して帰ってくる!な、ルゥ!」


『うん!ボクの水魔法でいっぱい倒す!』


「はっはっはっ!その意気だ、グレイリィちゃん!この依頼頼んだぞ!」


「あぁ!回復ポーション作ってから行かないとな、準備してから行こう!」


『準備は大事、ルゥも手伝う!』


私は市場に戻り、薬草や必要な物を揃えて、お祖母様のレシピで回復ポーションを作って


ーーーいざ、流動洞窟だ!!!


……To be continued

こんにちわ、海の女神と現第三王子の海物語を読んでくださってありがとうございます。


1話から4話まで、ご覧頂きまして

ありがとうございます!


ここまでの話はいかがだったでしょうか?


この先が気になる方、pixivにて先行公開中!

そちらも是非読んでください!


概要欄はこちら↓

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25562905


ルゥと一緒に、これからもよろしくお願いいたします!

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