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第3話『波の音と感情の満ち干き』

### あらすじグレイリィは相棒の蒼白竜ルゥに抱えられ、青い空と海を眺めながらどこへ向かうか分からない飛行中、ルゥとの出会いを回想する。


リズ魔法学園での召喚儀式でルゥ(ルミナ)と出会い、「街の安全と豊かさ」「女神のような存在になる」願いを共有し、絆を結ぶ。過去の恵まれた環境や家族との思い出を振り返りつつ、ルゥに連れられ家族の別邸へ到着。


濃い霧に包まれた別邸で、グレイリィは過去の喪失感に浸るが、ルゥの優しさとお兄様からの剣を手に再び動き出す。


桜の香りに導かれ、桜餅の思い出と共に元気を取り戻し、ルゥと新たな冒険へ踏み出す決意を固める。



今の私は、ルゥの頼もしい腕に抱えられて上空を飛んでいる。


上も下も景色は、ただ青い空と海が一望できるだけ。


私は今何処へ向かっているんだろう。


「ねぇ、ルゥ。私を何処へ連れていく気だ?」


私が何をしても竜の力には及ばないし、それにここから落ちたくない。


無気力に私はルゥの出会った時と変わらない綺麗な鱗と体を眺めていた。


綺麗な鱗の体。太陽の反射で白さが際立っているわね。


ルゥと出会ったのは、お爺様が創立なさったリズにある魔法学園。幼稚園から大学まである、海底都市にある大きな学校。


そこでは魔法だけでなく、科学とか、私が家で出来たことを学校で出来るって感じだったな。


子供の時は気付かなかったけど、私は凄く恵まれた環境に居たのだとわかったわ。授業で習った事のほとんどは家でやっていたことだ。


でも、お爺様は「ただやるのではなく、復習も大事なのだ」それに、「わからなくて、困っている人がいたら、グレイリィが教えてあげなさい。」と言った。


お父様とお母様が「勉強だけじゃなく人との交流も大事だ」と教えられて学園に入学した。制服はセーラー服とワンピースを融合した感じかな。


お祖母様とお母様みたいに、私は謙虚で、誰にでも親切にすることを心がけた。


同年代と過ごす事は、家族と過ごす感覚とは違ったけどいろんな人が居て楽しかったわ。


その授業の中で召喚儀式?みたいなのがあった。そこで召喚したのだけど…


「あれ、さっきまで教室に居たはずなのにな。」


辺りを見渡すと今まで見たことない、魔鉱石や水が青く綺麗に澄んだ、洞窟だった。


今の相棒である、蒼白竜のルミナに、ここで初めて出会ったのだ。


綺麗な蒼白の鱗、私と同じ青色の瞳に運命を感じたわ。


『ボクを呼んだのは、キミ?』


「うん…そうだ。」


なんて綺麗な鱗と瞳…そして大きくて力強い翼と体なのかしら。


『ボクはみんなからは蒼白竜と呼ばれているよ!この世界の伝説の一体さ!』


「初めてまして、綺麗な竜さま。」


『ねぇ。キミから、青く光るものが見えるんだけど、ボクに何を願うの?』


願い?願い…か。


「そうだな…。この街の安全と豊かにしたいな。それから私はお母様が読み聞かせてくれた、絵本に出てきた強くて美しい女神様のような存在に、私はなりたい。」


私は、ルゥにそう言った。まだまだお兄様たちには敵わないけど、絶対にギャフンと言わせてやる!!


『ふふ。なるほど。それでボクが呼ばれた訳だね。納得納得。』


「???」


どういうことなのか、よく分からない。


『キミの願い、ボクは気に入った!キミの名前はなんて言うの?』


「グレイリィ。グレイリィ・ヴィランだ。」


「グレイリィか、いい名前だね。じゃあ、ボクにまず名前を付けてよ!」


名前?名前か、考えてなかったわね。名前を考える時、海面にぼんやりと浮かぶ蒼月、あの月みたいで綺麗なのよね。


「ルミナ、ルミナでどうだ?」


『…ルミナ、うん!いい名前だね!ボクに名付けることでキミとボクは絆されるんだ!』


私とルミナの間に、何かが光り輝き。なんだか温かな気持ちになった。


まるで、お伽噺話に出てきた女神様のヴェールみたいだ。


『これで、契約は終わりだよ!おめでとう、グレイリィ!』


「ありがとう。これからもよろしく!ルゥ!」


『ルゥ??ふふ、可愛い呼び方だね♪』


私は教室に戻ると、お祖母様は驚いた顔をしていたわ。


家に帰って、お父様とお母様に、ルゥを紹介した時も…なんでかしら???



暫く上空を眺めているとルゥが降下した。


ある大きな家と庭があった。


そこは、毎回「海の外に出るのも教育だ」とお父様が言う度に、家族みんなとここの別邸に来たのだ。


『ここで暫く癒すといいよ。』


「…そうだな。」


この別邸はいつも晴れて渡っていたけど、今は濃い霧が辺りを多く、激しい波音だけが聞こえる。


「それがいいのかも、しれないな。」


山の涼しげな空気が、今はひんやりと痛くて心地いい。


何もせず、ただ呆然と時間が過ぎるだけ、時にはここでの思い出が蘇ったりして、泣いてしまったりしたけど、ルゥは黙って傍に来て、尻尾を頬に擦り寄せてきた。


ルゥが持ってきた果物や木の実を食べながら、たまに霧が晴れない窓の外を眺めたりした。


まるで情けない姿である、今の私みたい…よね。


ごめんなさい、ルゥ、家族のみんな。


あと少しだけ、時間をください。


せめて…この霧が晴れるまで。


濃い霧がなかなか晴れず、立ち止まり続けてしまい時間は流れて行った。


窓から少しだけ光が指したことに気づいて、机に突っ伏していた顔を上げた。


その時、腕になにか当たって倒れた音がして、見るとそこにあったのは剣だ。お兄様から私がDランクに昇格した時にプレゼントととして贈ってくれた剣。


久しぶりに素振りをしようと剣を振ってみると重く感じた。


「随分と怠けてしまったらしい。」


体を動かしたからか気分が少し軽くて、外に出てみると潮風と微かに香る華やかで温かい。


「ねぇ、この香りなんだろうね。お祖母様、お母様?」


「あら、グレイリィの言う通り、潮の香りとは違う、甘く柔らかな香りだわ。」


「うん!なんだか温かで優しい気持ちになります!」


「グレイリィ、この香りはお花なのよ。さくらと言って、ピンクの花弁が可愛らしい花なのよ。」


「へぇ!桜…なんか可愛い名前!」


「今日のおやつは桜餅にしましょうかね。」


初めて食べた桜餅、モチモチしてて塩気のある香りのいい甘味だったなと思い出した。


「桜餅、食べたくなってしまった。ルゥ、久しぶりに外へ行こう!」


『わぁ!うん、グレイリィらしくなったね!』


「ごめんなさい。ルゥ。」


『えへへ!グレイリィが元気になってよかったよ!』


優しく笑ってくれるルゥに胸がいっぱいになって、ルゥを抱きしめた。


この時、久しぶりに温かい涙が一つ零れた。


「いつも一緒に居てくれて、ありがとう。ルゥ。」


『グレイリィ…うん!』


そう笑い合い、私は別邸の扉を開けた。


……To be continued


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