第14話
「ルークさんが話そうとしている事、なんとなくわかっていますよ」
ニックが小さく笑いながら言った。それにつられたルークも少し笑った。
「話が早くて助かるよ。じゃあ早速ソレについて教えてもらおうか」
ルークが言うソレとは、数時間前にルークが首をへし折ったあの機械のこと。数時間前にニックが所属する軍の会議で話題になったあの機械のこと。
ニックはその会議で知った限りの情報をルークに教える。数日前から観測されているとか、路地裏に消えるとか、マントにセレナント帝国のワッペンがあるとか。本来あの会議は最重要のもので他人にペラペラ喋っていいものではない。ニックもそのことは重々承知している。そのうえで、ルークに喋るのはわけがあってニックは一通り喋ると一息ついて言った。
「ルークさん、ウチに戻る気はありませんか?」
ニックの言う『ウチ』とはアルティーナ王国軍のことで、その中のΔ4sも指している。
「ルークさんも感づいてはいるのでしょう?この件がどれほど危ないものか…。このままではこの国が危険に晒される。早いうちに行動を起こさないといけないんです。今日の会議でもそういった結論になりました。今は少しでも力をつけて備えなきゃいけないんです、今後起こりうる第二次大戦に…」
ニックは怒りのような感情を噛み殺しながら、静かにルークに語り掛けた。『第二次大戦』その言葉を聞いたルークは特に表情を変えなかった。
数年前に起きていた第一次大戦はアルティーナ王国の死者だけでも一万人は超えている。そのうえ領土も大戦前より失われている。元々、軍事力の強いセレナント帝国はアルティーナ王国の北西に位置し、両国のちょうど間にあったチリド山 ~元はアルティーナのもの~ を第一次大戦で占領した。その後、セレナントが攻めてくると思っていた矢先に協定の申し出があったのだ。セレナントが有利だったにもかかわらずセレナントからの協定の申し出、アルティーナにしては有り難い話であった。
そんな戦争から数年後、再びその悲劇が幕を開けようとしているのだ。だが、その説にはいくつかの問題が生じる。それに感づいたルークは言う。
「第二次大戦か…。起こるのか、そんなものが。仮に起きるとしたら、セレナントはわざわざ結んだ平和協定を破ってまで何を手に入れようとしているんだ。前回はあれだろ、領土が欲しかったんだろう。今回はなんだ」
確かに、セレナントは協定を破ってまで戦争をしたがる理由とはなんなのだろう。ルークはこの非常事態にも落ち着いている。だが、一つ気がかりなことがニックにはあった。
「前回の大戦の目的って領土だったんですか、知らなかった」
ニックがまだΔ4sにも入っていない頃起きた第一次大戦はセレナントが目的とするチリド山は占領したので協定を申し出たとルークは言う。だが、セレナントがチリド山を目的としていた事は、少なくともニックのような軍人の端くれは知らない事実であった。数年前の真実を知ったニックは単純に驚いた。そして、なぜルークは知っていたのか。そんな質問を投げかけた。
「あ、あぁ~。ほら、あれだ。そんとき俺の階級って結構上だったから。ニックのような下っ端には教えられなかったんじゃない?」
何故か適当な返事をするルーク。どこか焦っているような気もした。
「そんな適当な理由ですかね…」
ニックも納得出来ないような表情だ。
「まぁ、いい。このロボットの件は俺も勝手に調べさせてもらう。なんかわかったら教えてやるから、そっちも教えろ。それと俺は軍には戻らない…。じゃあな」
ペラペラと早口で喋るとスっと立ち上がってそそくさと出口に向かった。ニックはついて行かず、座ったまま体を出口の方へ傾けて言った。
「次はここで一緒に飲みましょう!」
何故そんな誘いをしたのかニック自身にもわからなかったが、ルークは振り返らず手だけをヒラヒラと振って店を出ていった。
ニックが出した声に店主がスタッフルームから出てきた。ニックと目が合ってしまって気まずくなったニックは癖で顎髭を触りながら言った。
「あ~、おすすめのお酒を一杯貰えますか?」
ちなみに、ニックは酒に弱い。
~アルティーナ中心街~
一匹の猫がネズミを追いかけて路地裏に入って行く。誰かの飼い猫なのか赤い首輪についた鈴がチリリンと可愛らしい音をたてる。黒猫で、綺麗な毛並みをしていることから随分と可愛がられているとわかる。
そんな猫が、薄汚れた灰色のネズミを追いかける。ネズミは賑わった街並みを走り抜け、とある十字路を左に曲がった。もちろん黒猫もネズミを追いかけて左に曲がる。
「おぉ?あの黒猫見たことあるな…」
水と食料を持ったカーキにコートを身にまとう暗めの茶髪の子は特に気にならなかったので、4区に続く真っすぐの道を歩いて行った。
左に曲がったネズミと猫は、数十メートル進むと路地裏に入って行った。その2匹は左にどんどん奥へ進んでいくと行き止まりについた。追い詰めたと思った猫は唸ると、ネズミは壁にあった小さな穴に入って行った。ネズミは運よく助かったようだ。猫は来た道を戻っていった。
ちなみに、その行き止まりには小さなネジや鉄の破片が落ちていたが、いつぞやの機械は無くなっていた。
さて、14話でようやく雲行きが怪しい感じになってきました。中々ストーリーが進みませんが、ご了承ください。僕の文章力がなさすぎるんです。ごめんなさい。
小説を書いてて思うのが、タイピングをもっと早くしたい。打つときのスタイルが独特でそのせいで遅いんですよね。スタンダードなスタイルがやりにくいんですよね。
話が180度変わって、近日新作を出します(断言)このビニール傘も完全じゃないのに自分を追い込んでゆくスタイルです。異世界ものだよ。楽しみにしておいてください。




