72"hacktyurlha"
佐上を探さなきゃな。
しかし、手がかりが何一つ無い。
とりあえず、アジトに向かった…のだが、
「うへぇ」
廃屋の前に止められた3台のパトカーらしきもの。
紺色の制服を身に纏った警備隊員たち。
彼等はこっちが不法侵入で訴えたくなるくらい乱暴に、アジトの中を引っ掻きまわして何かを探していた。
恐らく青田がアジトの位置を漏らしたのだろう。
裏切りものながら良い仕事っぷりだ。
「探せ! 女だ! 二人居る!」
非常に不味い状況になっているようだ。
だが、近づきたくてもこれでは近づけない。
ドラム缶の影で一体どうしたものかと悩んでいると、突然後ろから肩を掴まれた。
咄嗟の反応で振り向き様に裏拳を繰り出す。
しかし、拳は空を裂いただけで、何の感触も返さなかった。
「シーっ。
彼らにばれてしまいますよ、嘉賀さん」
そこにはとりたてて特徴の無い、強いて言えば特徴が無いことが特徴に挙げられる男がいた。
そのまさしく鈴木といった感じの平凡な顔立ちの男の名は…
「あ、もしかして忘れられてます?
鈴木です。
ほら、同じ会の」
やはり鈴木だった。
「それにしても大変なことになってしまいましたね。
青田さんには、昔私の絵を描いて頂いたり本当に良くして頂いておりました。
なのにどうしてあんなことに…。
あ、そうだ」
鈴木の目が、一瞬ただの鈴木ではありえないような光り方をした気がする。
いや、気のせいだろう、彼は鈴木なのだから。
「一つお芝居をしてみませんか?
あ、大丈夫ですよ、嘉賀さんにはとても簡単な役をして頂きますから」




