42 ”dythaidu”
どうすりゃいい?
廊下から足音が聞こえてくる。
じきにカツラに気づいて窓からも、敵がくるだろう。
汗が滴るのが分かる。
…突然衝撃を感じた。
「佐上?」
佐上が俺を突き放したのだ。
「もう、いいよ」
「は?」
「なんで、あんた、私を助けようとするんだよ。
このままだと、あんたも…死んじゃうぞ。
得なこと、一つもないじゃんか」
佐上が廊下から鳴る足音の方に近づいていく。
佐上の歩いた後が濡れていた。
「おい、佐上」
佐上の肩を掴む。
何を使ってでも、何をしてでも止めなければ。
「放せ!
…もういい加減、死にたいんだよ」
「だめだ、俺が死んで欲しくない!」
「なんでさ!?
私が死んだって、殺されたって、あんたには関係ないだろ?
死刑囚が法律に従って殺されたんだ。
何一つ間違いなんてない!」
「その法律が間違ってる」
「間違ってるかどうかなんて、私たちが決めることじゃないだろう?」
後ろから、前から、気配が迫ってくる。
どうすりゃいいんだ?
…佐上がどうしたいのかは、分かる。
それによってこの事態が一時的に解決することも分かる。
相手の狙いは、佐上だけだ。
だったら佐上が自分から、相手に捕まりに行けばいい。
俺は何もかも見なかったことにすればいい。
けれど、柊の予言がどうとかではなく、感情的な面で俺はそれを許せそうになかった。
…相手が来るなら、こっちからも行けばいい。




