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6 ”hlagh”
突然エイダは立ち上がり、何かに対してこう宣言した。
「フラグは達成されました」
「ああ、はいはい、フラグな。
って、本当にフラグかそれは。
んで、何、フラグって」
ギャルゲーとかのあれか?
「フラグだ」
「いや、そうだろうが…」
「キョー!」
ガシッと俺の手を取るエイダ。
そのまま椅子から引っ張りあげられる。
結構力あんのな、こんな柔らかい手をしているのに。
「行こう!!」
「唐突だな、どうしたんだ?
まあ、俺としてもそろそろ店を出てもいいと…」
「違う」
「は?」
「出る、違う、行く」
いまいち要領を得ない。
「はあ、どこに?」
「スタティオンに」
少しの間、エイダ語の翻訳の為に脳髄をフル稼働させる。
……あ、わかった。
「ああはいはい、ステーション、つまり駅な」
「シッケイしない」
「おう、これからはちゃんと覚え…ん?」
シッケイ、しないだと?
エイダは、言葉について訂正されると、誰に対してもシッケイしたと、素直に答える。
まあ、それも日本語としてはおかしいのだが。
だが、どういう訳か今回はシッケイしないらしい。
さっきからどうしちまったんだ、エイダは。
「行こう、スタティオンへ!!」