23 ”daugx”
「ほんっと、子供ね、アンタ」
「お前に言われたかねぇ!」
「子供なのは見た目だけなのかと思ってたけど、怖い夢を見て女の子の腕の中で泣くだなんて、中身も子供そのものね」
由紀乃がクツクツと笑う。
この部屋にいる間だけでも、あれは夢だったと思い込むことにしよう。
「あ、きたきた」
由紀乃がタワー型のパソコンを操作
する。
うちのボロい中古とは違う、最新…の一歩手前だがかなりのスペックを持つパソコンらしい。
さらっとマウスを操作して、あのサイトを引っ張り出す。
Nちゃんねる。
今のところこの国で最も規模の大きい掲示板だ。
多分こっちでも。
そのトップページで由紀乃は一見何も起こらなさそうな場所をクリックする。
一回。
場所を変えて三回。
また一回。
今度は四回。
由紀乃の手つきが、なんだか壁のタイルを押す時の高野に似ていて、俺は気分が悪くなった。
頭を振る。
「なんか、犬みたいね、あんた」
「…わん」
「よしよし、おいで」
俺より少し小さい手が、俺の頭に触れる。
由紀乃の震えが伝わってきた。
「おい、無理すんなよ。
ゆっくりでいいから…」
「キョウ、伏せ」
「…わん」
改めて伏せの体勢になった俺の頭に冷たい手が乗っかる。
けれど、結局頭を撫でられることは無く、手はすぐに離された。
それでいい。




