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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
18. 激突 エリオvsルドリフ

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その3

 ドッギャンーン!! ドドドッカーン!!


 東の空から太陽が昇り始めたとほぼ同時に、激しすぎる砲撃音が響き渡った。


 それは紛れもなく、海戦開始の合図だった。


 バキバキ、ガッシャン!!


 バシャ、バシャ、ぎぃぎぃ……。


 ただ、合図にしては、かなり激しすぎた。


 自室で就寝中だったルドリフは、激しい轟音に飛び起きた。


 ぎぃぎぃ!!


 艦が激しく揺さぶられており、起き出すのも困難だった。


(何が起きている!!)

 ルドリフは、動揺しながらそう思った。


 とは言え、何が起きているかは明白であり、正確にはどうして攻撃を受けていると言う方が正しかった。


 ルドリフは、激しく揺さぶられる艦内を走りながら、艦橋へと辿り着いた。


 そして、この世の地獄ではないかという光景を目の当たりにした。


 ドーン!!ドッカン!!バキバキ……。


 ギシギシ……。


 数多くの味方艦が炎上しており、中には沈んでいく艦もあった。


 現在、ルドリフが率いている王都に駐留していた艦隊は、帝都ーサキュス間を航行中だった。


 そして、今は、その3/4地点にあった。


 帝都の北の海沿いにはサキュスまでは大きな都市はなかった。


 なので、○○沖とは言えない海域だった。


 まあ、そんな事はどうでも良く、どうして、こんな所で攻撃を受けているのかが理解できないでいた。


「敵艦隊を判別。

 クライセン艦隊です」

 副官のステマネが、恐怖を押し殺すように、何とか事務的にそう報告をした。


「小僧の艦隊!?」

 ルドリフは、叫んでいた。


 とは言え、冷静さを欠いたと言うより、周りの状況からして、それは有り得るのかという反応だった。


 何せ、数が多すぎる。


「いえ、現在確認できているのは、アスウェル艦隊、ティセル艦隊、そして、アトニント艦隊です」

 ステマネは、ルドリフの叫びに対して、追加の報告を行った。


「……」

 流石のルドリフも絶句する他なかった。


 そして、隣のエンリックと顔を見合わせる形になった。


「……」

 エンリックの方も、なんと答えていいか分からずに、沈黙してしまった。


 ばっしゃーん!!ぐらぐらぎぃぎぃ……。


 旗艦傍に砲弾が着弾し、水柱が上がり、その影響で艦が激しく揺さぶられた。


 それにより、ようやく我に返った。


「艦隊を密集させろ!

 各艦、孤立させないようにせよ」

 ルドリフは、防御態勢を指示した。


 ステマネはようやく命令が下されたので、すぐに伝令係に指示を出していた。


 ルドリフは、命令を出した後、悔しそうに奥歯を噛みしめていた。


 現状は、未だに上手く把握できてはいなかった。


 ただ、圧倒的に不利で、絶望的な状況になっている事だけは分かった。


 そして、それが現状把握ができない事の原因だという事も分かっていた。


「……」

 エンリックの方は、黙る他なかった。


 ルドリフの命令はそれしかできなかったし、現状に対するアドバイスできなかった。


 とは言え、絶望的な状況とは言え、時間が経つにつれ、状況が分かってきた。


ーーー 海戦概略図 ---


海|

 | As

岸| RHTh

 | At

線|


 リーラン王国側 As:アスウェル艦隊、Th:ティセル艦隊、At:アトニント艦隊

 ウサス帝国側  RH:ハイゼル帝都駐留艦隊


---


 帝都駐留艦隊は、完全にクライセン艦隊の包囲網に置かれていた。


 半包囲であるが、西側は海岸線の為、もはや袋のネズミだった。


 そして、正確には分からないが、艦数でも圧倒的な差があるのは明白だった。


 損害は増一方で、反撃の糸口さえ、見付けられなかった。


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