勇者の息子の威厳の効果は
「ちょっといいか?」
休憩時間に俺は擬態を解いて勇者の息子のレオとして活動を始めていた。
いきなり俺に声をかけられたCクラスの女の子は顔を真っ赤にして焦っている。
「このクラスが下のクラスからお金を集めてると聞いたんだが、どういうことか教えてもらえないか」
「は、はい! それならグラッドくんが仕切っている件だと思います」
統率の取れた行動だとは思っていたが、もうこのクラスの頭が決まっているのか。
「君がグラッドくんか? お金を集めてるらしいが、どういうことかな?」
コイツが頭だとしたら、そこを押さえればこの件はカタがつくだろう。
そのために勇者の息子としての力を存分に使ってやる。
「ああ、勇者の息子さんか。そうだよ。でも、Fクラスが払わねえって言ってて困ってんだ。もう少し待ってくれよ」
「え? いや、待つというか、辞めてくれって言いに来たんだが」
「は? 辞める? あんたマジで言ってんのか?」
「マジだ。そもそも何のために金を出させてるんだ」
「おいおい、アンタは一応俺らの学年のアタマだと思ってたんだがな」
「……どういうことだ?説明してくれ」
グラッドは想像以上に丁寧に説明してくれた。
まず王国一の学園を決める対校戦では代表のクラスが戦う。
つまりこの学園だとAクラスが戦うわけだが、正式な戦いだけでなく場外戦も頻発するため、Cクラスまでの生徒は戦闘要員として必要となるようだ。
それ以下のクラスは守ってもらう立場となるため、上のクラスが良い武器やアイテムが入手できるように金銭的に援助したり、万全の状態で望めるように日頃の生活のサポートを行うことで協力するのが一般的らしい。
そして、このような効率的なシステムを構築できるのは1番強いやつ、つまりこの学年では俺が仕切っているのだと言うのだ。
「なるほど、事情はわかった。だけど、俺はそんな指示は出してないんだ」
「そうかい。そんじゃ、あんたの取り巻きが勝手に始めたのかもな。いずれにせよ俺らCクラスはただの雑用だよ。そういうのは上でちゃんとしてくれや」
勇者の息子って威厳で、バシっと簡単に解決できるかと思っていたが、思ったよりも根深い事情のようだ。
しかし、一般的によくやられることだとは言え、この学園で実際にそれが行えるシステムを入学早々に構築するのは並大抵のことではない。
この絵を描いたヤツを見つけださないといけないな。




