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闇討ち

「大変だ! ダインがやられた!」


その日の朝はそんな声から始まった。


「全治2週間らしい」

「なんだって? 誰にやられたんだ」

「さっそくはじまったか……」


恒例といえば恒例の事態だ。

力こそ正義のこの世界では力を示していく必要があるため、入学早々に生徒間での抗争が勃発する。

しかし、妙だな……


「でも、なんでFクラスのダインがやられるんだよ!」

「俺たちを狙ったって良いことはないはずだ」


そう、この学園では入学時にある程度の格付けは済まされている。

最弱である俺たちFクラスを狙ったところで自分の武力の証明にはならない。

だから、このクラスは抗争とは無縁だと思い、俺の擬態姿の所属はFクラスにしたんだ。


「まさか、ダインのやつから挑んだのか?」

「いや、それも考えにくい、相手はCクラスらしい。いくらアイツがバカだとは言え、流石にな……」


格下から下克上を狙うことはあるが、俺たちとは3つもクラスが違う相手に入学早々挑んだって勝てるはずがない。

そういう無用の勝負を減らすためにも、このクラス制度が取られているんだ。

普段から自分の所属クラスを示すためのバッチを身に付ける義務もあるため、喧嘩を売る相手を間違えたとも考えづらい。


「じゃあ、なんで……」

「おい、他にもやられたヤツがいるぞ!」

「そういえば、アイツもまだ来てない……」


他にも犠牲者がいると聞き、教室がざわつき始める。

そんな中でアイナが登校してきた。


「おはよー。何よ、この空気?何かあったの?」

「このクラスの人がCクラスの人にやられたらしいよ」

「へー、アタシだけじゃなかったのか」

「えっ!?」

「アタシも来る途中にCクラスの人に絡まれたのよね。あの教室に来てたヤツだったわ」


そうか、あの金を集めに来てたアイツもCクラスのヤツだったのか!

ということは、アイツらの狙いは……


「ちっ、そう言うことかよ!やっぱり俺がもっとしっかりぶちのめしておくべきだったな」

「アンタじゃやられてたんじゃない? えーっと、ハゲオくん?」

「誰がハゲオだ! 俺はコニーだ」


俺に絡んではアイナにやられ、その後はCクラスの男に絡んでいたボウズ頭のコニーが話に割り込んできた。


「俺たちが金を払うのを拒んだから、その見せしめにやってきてんだろうよ。やっばナメられたらダメなんだよ!」


Fクラスにいて、そこまで突っ張れるのは見上げたもんだ。

それかぶち抜けたバカか。


「アンタ、アタシにも負けてたのに、よくそんなこと言えるわね」

「うるせえ! いいか! 俺はな、お前にも負けたわけじゃねえからな! それだけは覚えておけよ!」

「はいはい、わかったから、もう絡んでこないでね」


どうやらコニーはそれを言いに来たようだった。

本当にナメられるかどうかを気にしているらしい。

教室を歩くだけなのに、あらゆる人にガンを飛ばして回っている。

ただアイナにやられた件があるので、それ以上のことはしないようにしているようだ。


「それにしても困ったな」


平穏に過ごしたかった俺の学生生活はどうやらすでに崩れそうだ。




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