第十七話 接点
「だったら……それは〈印〉だ」
玲ちゃんの姿をした人食い鬼は、ニヤッと笑いながら言った。
「……印?」
「どういうことですか? 主様」
私と加奈は尋ねる。山口は黙って玲ちゃんを見詰めていた。
「言葉通りの意味だか」
玲ちゃんは、私たちを馬鹿にしたような目で見てくる。
「……つまり、こういうことかな?」
皆の視線が私に集まる。
「……呪いから生まれた化けものは、印がついている人間を見つけだし襲っている? 無差別で襲っているのではなくて、理由があって選ばれたっていうこと?」
「そういうことだ」
私の問いに、玲ちゃんは頷く。
加奈と山口は驚いたように、私を見ている。何で?
「……朔夜、すっごい!! 探偵になれるんじゃない!? 山口のおっさんでさえ、分かんなかったんだよ!!」
加奈興奮し過ぎ。それに一言多いよ。私は苦笑いするしかなかった。山口は隣で、明らかにショックを受けたように黙り込んでいる。玲ちゃんは我関せずと、黙々と肉ばかり食べている。
「玲ちゃん、肉ばっかり食べてたら体に悪いよ。野菜も食べないと」
人食い鬼に言う台詞ではないが。この体は玲ちゃんの体だ。年はとってやないけどね。
「…………朔夜って凄いよね。順応性が高いっていうか……」
加奈が言おうとしていることが、何となくだが分かった。どう言葉を返そうか、悩んでしまう。加奈は素直な気持ちで言ったんだと思う。だからこそ、私は言葉を失う。
守護者になる以前から、私は物事を一歩離れて見る癖があった。それは自分が当事者であってもだ。玲ちゃんがいなくなった、あの時からだったと思う。一歩離れて見ることで、自分を保っていたんだと、今は思える。
でもそれは時に、人に不快感を与えることがある。
私に事あるごとに皮肉を言っていた、サークルの秋山先輩みたいに。だから、出来る限り表に出さないようにしてたんだけど……。玲ちゃんたちといると、素がでてしまう。幸い、加奈や山口さんは不快に思っていないようだけど、気を付けなきゃいけないかな。私はふと、思った。
「お前らが鈍いだけだ」
玲ちゃんが言った。その瞬間、加奈たちの意識が玲ちゃんに向く。もしかして、助けてくれたの? 私は玲ちゃんを見る。変わらない様子に、私は微笑んだ。
「朔夜が言ったことを踏まえて、何をすべきか。山口、お前の頭でも分かるだろう」
玲ちゃんの言葉を聞き、山口は考え込む。
「死んだ女子大学生たちの接点を見つけだす」
「どうやって?」
玲ちゃんが尋ねた。山口は言葉に詰まる。その様子を見て、玲ちゃんは大きなため息をつく。
「加奈」
玲ちゃんに名前を呼ばれた加奈は、今までとは態度を百八十度変えて、真剣な表情で玲ちゃんを見る。
「死んだ女子大学生たちが最近、どっか行ったとか知らないか?」
(行ったところ……行ったところ……)
「あっ!!」
私と加奈は同時に声をあげた。
「合宿!!」
たいへん遅くなり、申し訳ありませんでした。
これからも一生懸命書いていきますので、応援宜しくお願い致します。




