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特典用SS(HP版):西銘真理亜の後悔

番外編のエンドを付けたのは、もう十年くらい昔になりますか?(更新日見たら2017年の大みそかでした)

あそこで終わらせたので新しく追加する気はなかったんですが、書籍化した際にいくつか書いていたSSがきれいに残っていたので、せっかくですし読んでいただこうかと思って追加しました。

 今にして思うと、あたしはかなり調子に乗ってた。


 これは、なまじ容姿に自信があったせいだと思う。顔はそこらの芸能人より可愛いし、小柄で華奢で、庇護を誘うような体つきしてたし。

 頭はすごくいいってわけじゃなかったけど、ちょっと目をウルウルさせれば、男子軍団がこぞってテストのヤマを張ってくれたから、テストの成績だけは悪くなかった。

 だから、あたしはまわりを馬鹿にしてたところがあったんだと思う。ちょっと(コビ)売ればどうにかなるって。実際、可愛く甘えればカレシは何人もできたし、彼らはなんでも買ってくれた。


 まぁ、女子のやっかみは買ったわよ? そりゃそうよね。可愛くて、男子からちやほやされて、学校一カッコイイと評判のレン先輩だって、イケメン生徒会長のタクミ先輩だって、可愛い弟ポジのシュンだってあたしのとりまきだったんだもの。でも、なにかされそうになっても誰かが助けてくれた。可愛いだけじゃなくて、運もよかったの、あたし。

 だから、人生チョロイって思ってた。あたしは()()()だって。


 ──でも、その考えは、突然異世界に連れてこられて一変することになった。


「なによここは!」


 とりまきカレシーズに囲まれつつ下校してたあたしは、突然連れてこられた異世界に悲鳴を上げた。当たり前よね。だって拉致でしょこんなの。聖女? 世界を救え? 知らないわよ、そんなの他の暇な奴にやらせりゃいいでしょ。

 そんな態度のあたしに、あたしを拉致した奴らは言った。「もう元の世界には戻れない」って。


 これは後々嘘だったってわかるんだけど、そのときのあたしはもう手が付けられないほど暴れたわよ。言葉はなんでかわからないけど、理解できた。あたしが喋った日本語だって、彼らには現地の言葉として聞こえているみたいだったし。

 でも、()()()()だったから。


 向こうの常識が通用しない世界で、あたしはひとりぼっちだった。

 〝世界を救う聖女様〟として勉強はさせられるし、鬱陶しい女連中には陰口叩かれるし、今までみたいに誰かに助けてもらおうにも、あたしのまわりには高慢ちきな女しかいなかった。ただでさえ女子とは相性悪いのに、偉そうにまわりを見下して男漁りをする女たちと、美少女聖女様なあたしとでは、本当に軋轢しか生まなかった。たまに会う王子様(エド)と、あとは魔法を勉強させるおじいちゃん連中くらいよ、あたしのまわりに配置された男なんて。まぁ、ストレス発散もかねてソッコー落としたけどね。

 そんな感じでストレスをためたあたしは、とうとうそこで決心したわけ。「どうせ帰れないなら聖女様としてやってあげる。その代わり、あたしをちやほやしなさい!」と。

 そういう風に提案すると、ようやく前みたいな環境になってきた。イケメンをたくさんまわりに集めて、ちやほやしてもらって、あたしはようやくほっとできた。


 でもね、彼らは「仕事だから」あたしの機嫌を取っているだけだって、しばらくして気づいたの。強請れば甘い笑顔や言葉をくれるけれど、彼らは一貫してあたしに「聖女様であること」を強要したから。帰りたいって泣いても、魔物が怖いって泣いても、彼らは「頑張りましょう」「聖女様ならできます」「世界をどうかお救いください」って、あたしが〝聖女であること〟を望むばかりだった。誰も〝あたし〟を思いやって、気遣ってくれる人なんていなかった。


 見知らぬ異世界で、たくさんのイケメンを侍らせながら、あたしは孤独だった。

 あたしは半ば八つ当たり的にとりまきのイケメンたちに無理難題をふっかけた。甘えて、すりよって、〝あたし〟を見てくれる人を探して。


 そうやってはじめて見つけた相手は、地味〜な装いの、のほほんとした女だったのは誤算だったけれど。

13日~15日は2編ずつ、16日は1編、投稿予約してあります。お盆の時間つぶしにでも、ぜひ。


《主要な登場人物》


ルチア:主人公。〝シャボン〟という魔法を使う、平凡な洗濯婦の少女。お人よし。セレスティーノに片想い中。

セレスティーノ:ヘタレイケメン騎士。ルチアに片想い中だが、ヘタレすぎてアピール失敗続き。

西銘真理亜:日本からバンフィールド王国に召喚された〝聖女〟。ワガママお花畑かと思いきや実はツンデレ美少女。

フェルナンド:騎士団長。苦労人。セレスたちの上官。

ガイウス:クマみたいな見た目のおっさん騎士。ルチアの護衛兼保護者的存在。

エドアルド:バンフィールド王国王太子。しれっとしているが笑い上戸。

エリク:アカデミアの研究員を務める少年魔法使い。計測マニア。

レナート:フェルナンドの副官。細身長髪眼鏡と、まったく似てないがガイウスの実弟。クマ要素はゼロ。

シロ:キリエストの天晶樹から生まれた白竜。基本ルチアかマリアのところにいる。

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