シナリオ38 ささやかな復讐
「すみません。あなた方のことは私の主から何も言われいなくてですね、判断は後からになりますがよろしいでしょうか?」
「は、はい。何かあるならお手伝いさせてください!」
「何でもするのでどうか!!」
ここで少しでもポイントを稼いでおけば助けてもらえる可能性が高く案ると考えたようで、それぞれ金目のものなどを集めて持ってきだした。
もちろん中にはいくらかを懐に隠しているのもいるがな。
俺はその様子を見つつ、武装の鑑定を行なっていく。もしこの中に盗賊関係者がいれば、武装で分かるからな。数人は猛毒の塗ってあるナイフなんかを仕込んでるみたいだし、処分対象になるかもな。
「持ってきました!」
「あぁ。はい。ありがとうございます。この袋の中に入れてもらってもいいでしょうか?」
「はい!もちろんです!!」
俺の指示に従いせっせと金目の物を集めてくる。
そうしながら話を振ってみたりして事情を尋ねたところ、半分程度が、
「私村を焼かれて………」
「私、この汚れた体じゃ村に帰っても………」
「地元は遠いところにあるんです。冒険者をしてここまで来ましたけど、このままじゃ帰るなんて無理です」
といった感じで、身寄りがなかったり帰れなかったりする人も多かった。
もちろん残りは帰りたいって人達なんだけどな。しかもその中には奇妙な縁もあり、
「あの人たちの話だと、この子○○村の村長さんの娘らしいんだけど」
「へぇ?そうなんですか。そこまで分かっているのは良いですね」
その村の名前には聞き覚えがった。そしてその境遇も覚えのあるものだった。
紹介された女の子は、俺が生まれた村でさらわれた村長の娘。ある意味俺たち家族があの村から追放された原因と言ってもいいような存在だ。
もちろんそんなことは口にも態度にも出さないが、この子を届ける時には村長に嫌味でも行ってやろうと思う俺の醜い心があった。
「………さて。これで全部でしょうか?」
「は、はい!」
俺の言葉にうなずく女性たち。しかしその表情はどこか不安や恐怖が混じっているように見える。
智龍ちゃんにどう判断されるのか不安………という気持ちもあるのだろうが、
「隙ありぃぃぃ!!!!!」
「もらったああぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「油断したなガキィィ!!!!」
俺が金目のものが入った重い袋を持った瞬間、まぎれていた盗賊の残党が一斉に襲い掛かってくる。今は両手が塞がっていて、ここから剣を抜いたとしても到底間に合わない。というか、だからこそこの瞬間を狙ったんだろう。
が、
「予想通りですね」
「「「「なっ!?魔法!?」」」」
どうやら俺が魔法を使っているのは知らなったようで、あっさりと俺の土魔法に足を絡み取られ闇魔法で眠ってしまった。
油断させて奇襲するだけの連中だったようで、ほとんど力はなかったな。
「さて、ほかに私へ攻撃する方はいらっしゃいますか?」
「「「「い、いえ!いないです!!」」」」
激しく横へ降られる首。
残った人たちには鑑定した限り大した装備もしていないし、問題はないだろう。ということで連れて行って智龍ちゃんに事情を説明してみれば、
「おおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!かわいそうなのじゃあああぁぁぁぁぁ!!!!!!もちろん帰らせてやるからのぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
境遇に同情して涙腺崩壊。大泣きだった。
意外だったのか、連れてきた全員が目を丸くして固まっている。
「智龍様。○○村だけは場所を覚えておりますが、私もほかの村は分からなくてですね………」
「あぁ~それもそうじゃの。おぬしたち、村の場所が分かったりは………」
「私は分かります」
「私も分かりますよ」
「私も分かるので………帰りたい子たちは全員分かりますね」
村などへ戻ることを希望する者達は全員場所が分かるということだったので、さっそく出発。
村人たちは智龍ちゃんの姿に驚くが、離れた場所に降りてもらって俺と数人で子供たちなどを連れていくと警戒はされながらも受け入れられる。
一部では拒否されたりして子供を受け取らないところもあったが、まあ予想はしていたのでそういうところからはおとなしく立ち去った。
そして、最後。
「おぉ!ジーナ!待っていたよ!!」
「お父、さん?」
俺の生まれた村へとやってきた。
覚えている声よりも少しやつれたような声で村長はジーナというなの娘に抱き着く。ジーナの方は幼いころ(まだ十分幼い年齢ではあるが)にさらわれたため顔は全く覚えていなかったようで、かなり困惑した表情をしているな。
「君も、ありがとな」
村長は俺に礼を述べてくる。それに俺はにこりと笑って、
「いえ。お構いなく………私が代わりになっていた可能性もあったわけですからね」
「ん?どういう意味………ま、まさかお前、あの!」
「ええ。この子の代わりにあなたがしようとした挙句村から追放された子供ですよ………今回智龍様の配下として来ていますので何もするつもりはありませんが、恨みがないとは思われないことですね」
「ひっ!?」
俺が智龍ちゃんの笠を着ているためか、村長は露骨におびえた表情で顔を青くする。
俺はそれに腹黒そうな笑みを浮かべた後、背を向けて去った。
「………ん?何かあったのじゃ?」
「いえ。特に何もないはずですが?」
「そうかのぅ。いつもと雰囲気が違った気がしたんじゃが………まあそう言うのならいいのじゃ」
「ええ。それよりも皆さんを村へ送った後にまた盗賊の拠点にまで戻って残ってる残党をどうにかしないといけないですから」
「うむ。そうじゃな」
智龍ちゃんは俺のことをよく見てくれているようでうれしかったが、ごまかさせてもらった。




