↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/40

シナリオ25 襲撃

 動きがあった。

 侯爵の後ろの方に控えている貴族の横。そこにいた一部の騎士たちが、一斉に地面を蹴ったのだ。


 「「「「っ!?」」」」


 急なことであり貴族たちは誰も静止の言葉すらかけられないまま、騎士たちが智龍ちゃんに迫る。矢や魔法といった飛び道具も大量に使用され、並の人間なら確実に命を奪われてしまうであろう攻撃だ。

 もしかすると智龍ちゃんであってもダメージを受けるかもしれない。

 が、


 「やらせません、よっ!」


 それは智龍ちゃんが何もしなければ、そして、智龍ちゃんの周囲が何もしなければの話だ。

 今ここには、俺がいる。智龍ちゃんへの攻撃など、この智龍ちゃんのファンである俺が見逃すわけがないのだ。

 ここで智龍ちゃんに万が一のことがあれば俺のスローライフの夢も遠のく。そんなことは許せない!


 「なっ!?矢がすべて落とされた!?」

 「魔法も防いだだと!?」

 「足を取られた!誰か抜いてくれ!!」

 「無理だ!俺も取られてる………っていうか、全員じゃねぇか!?」


 全ての飛翔物は撃ち落され、接近しようとしていた者達は全員足をからめとられる。彼らが足元に目線を向けてみれば、そこには土でできた腕が彼らの脚をがっしりとつかんでいったのであった。

 といってもすべて俺がやったんだけどな。


 「智龍様。お怪我は?」


 「だ、大丈夫じゃが」


 「それは大変良かった。すぐに不届き者共は始末しますのでしばしお待ちを」


 「え?お、おぅ?」


 攻撃が来ると思って身構えていたのに結局何もこなくて拍子抜けしたといった様子の智龍ちゃん。その様子もなかなかにかわいいのだが、いったんそれは置いておいて何かまたされる前に全員片づけることにした。

 さすがにここにいる人間は貴族の配下ではあるので、命を奪ってしまうのはマズいだろうから、


 「眠れ」


 という言葉と共に闇魔法の相手を眠らせる効果を持ったものを発動。すぐにバタバタと武器を構えていた騎士たちは倒れ始めた。

 闇魔法もシナリオ達成ボーナスで獲得したものなんだが、かなり使い勝手が良くてスキルレベルを上げてたんだよな。闇魔法はかなり物理的な硬さとかを無視して破壊ができるタイプの魔法で、物作りに意外と役立つのだ。特に加工とかのときにな。

 ただ、実を言うとこんな相手を眠らせるとかいうタイプの魔法を使うのは初めてだったりする。スキルレベルは上がっていたしいろんな魔法は使えるようになったんだが、いかんせんモノづくりに使えるものしか使ってこなかったからな………。

 ま、まあ、でも全員眠っているように見えるので結果オーライだろう。正直これにそこまでの効果があると思っていなかったからほかにもいくつか魔法は準備していて無駄になったのだが、それでも結果オーライなのだ。


 「智龍様。一先ず片づけ終わりました」


 「う、うむ………ヴェン、お主そんなに強かったのか」


 智龍ちゃんに終わったことの報告をしたのだが、どうやら襲われたことより俺がある程度戦えたことに驚いているようだな。

 まああまり戦い関連の話を智龍ちゃんにしたことはなかったから当然と言えば当然か。俺、まだまだ幼児だしな。


 「智龍様のお役に立つときが来るかと思いまして鍛えておりました」


 「そ、そうなのか。いったい何があると思っておったんじゃ………とはいっても、実際役に立つ日が来てしまったわけじゃがな。とりあえず妾を守ってくれたことに礼を言うのじゃ」


 「いえ。智龍様の供物として当然のことをしたまでです」


 「いや、妾は供物にそんなこと求めておらんからな!?」


 おっと。自然な感じで言ったつもりだがしっかりとツッコミを入れられてしまった。俺もまだまだ話術が足りてないかもな。今後も智龍ちゃんの話を村人たちに聞かせてそれ系統のスキルレベルを上げなければ!

という意気込みはひとまず置いておいて、


 「さて。では閣下。これがどのようなご意思の下に行われたことなのか、ご説明いただいてもよろしいでしょうか?」


 「うっ!」


 俺は侯爵を冷たい目線で捉えながら尋ねる。さすがに伯爵もこんな事態は想定していなかったようで言葉を詰まらせているな。

 ただ、正直俺は侯爵が今回の主犯ではないと思う。が、それはそれとしてここにいる貴族たちを束ねて連れてきたのは侯爵なのだ。そのため、この集団が行った行動の責任の一部が侯爵にあると言ってもいい。


 「も、申し訳ない。私としても智龍様への害意など全くありはしないのだ。すぐにこの者達の主へ真意を確かめる」


 伯爵は近くにいた騎士に目配せをする。そしてすぐに攻撃を仕掛けた騎士たちの所属の確認が行われるのだが、


 「っ!?だ、男爵様が逃走されました!!」

 「何だと!?」


 確認が行われるという段階で1人の男爵が逃げた。

 男爵様としか言わないのは、逃げるその1人が黒い外装を被り姿を隠したからだな。しかも、ほかの数人の男爵たちに布のようなものを投げて、残っている貴族の確認も取りにくいようにしていきやがった。


 「追え!追ええええぇぇぇぇ!!!!」


 号令がかけられ、騎士の一部が護衛から外れて追跡に動き出した。

 が、かなり出遅れた感じがあるな。さすがに騎士たちも貴族の脱走というものは想定して陣形を組んでいなかったようで、追いかける際の隊列なんかがかなりひどいものになっている。

 相手は事前に計画していた可能性が高いし、この様子を見る限り逃げられる可能性が高いとみていいだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。