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人を乗せて飛ぶのは、中々楽しい

 いつまでもお城で遊んでいたかったが、そういう訳には行かないようで、亜美奈達は皆 その島に居る全員が声を掛けられ、一緒に操船室へと移動した。そしてミケルの指導の下に、操縦の仕方を教えて貰った。操作は簡単で、家の玄関にもあるあの大きな光の球を、トラックボールのようにクルクルと回すだけだった。

 島の操縦は順番に行う。どのくらいのスピードが出ているか、メーターが無い為判らないが、日本列島の横断はあっと言う間だったし、日本海もアッサリ渡れた。


「全員乗せたら合図するから、そうしたらゆっくり上昇してくれるかな」

「それで、その後ボク達はどっちに向かえば良いの?」

「見送りの皆が飛ぶ方向に、真っ直ぐ行けば大丈夫だよ」


 なるほどと頷くと、ミケルが操縦を代わってくれた。目的地は目の前だ。大きなカバンを斜めに掛けた人達が、此方を指差して叫んでる。まるでアニメの様に、島が空に浮かんでいるのだから、興奮するなと言うのは無理ない相談と言うものだ。

 亜美奈達もあの中に居たら、きっと興奮して騒ぐだろうと思いつつ、何故かここに居る事を誇らしく感じてしまう亜美奈だった。


 ミケルが丸い光に触れると、島はゆっくり下降する。だが地面に着く事は無く、屋根が漸く見える位置に停止し、ガコンッと何かが外れた様な衝撃が有った。

 窓から外を見てみると、城から見えた大きな扉が開いて行くのが見えた。外の人達はきっと、ゆっくり見えて来た城に喜びはしゃいでいることだろう。


「私もぉ、ちょっとぉ、あそこの中に居たくなったよぉ」

「ボクもだよ。だって、きっと凄く嬉しいよね。これからあれに乗って、新天地に行くんだぁ、って考えたらさあ」

「判るわぁ。私もそんな気持ちでこの世界に来たかったもの」


 心菜の言葉に、真鈴、桃子が同意する。もちろん亜美奈も同じ気持ちで。だが言葉にせずに頷いた。

 けれどあの人達を乗せて飛ぶのも楽しそうだから、この場に居るのもきっと同じくらい楽しい。

 話している内、ミケルも島から出て行った。彼は地上に降りる事無く、島と並行して浮かんでいる。


「あっ、天使達が手を振ってるよ」

「きっとぉ、飛んで良いって言うぅ、合図だよぉ」


 ここから先は、天使は一緒には行けないらしい。いったいどこに向えば良いかも聞いて無いが、取り敢えず真っ直ぐ進んで見ようと思う。


「次ぎは亜美奈が運転する番ね」

「うんっ。取り敢えず真っ直ぐ進むけど、天使達が誘導してくれるかも知れないから、みんなで外見ててくれるかな?」

「「「OK!」」」


 さっきミケルが触れた光の玉に触れると、大きな扉が閉じる感覚が有り、その後ゆっくり浮き上がる。操縦と言っても、ほとんで自動運転だ。

 チラリと地上を見ると、天使達が手を振りながら飛び立つ所だった。方向は合っているようで、彼等も真っ直ぐ進行方向に向けて飛んて行く。

 ファンタジーなその景色を写真に収めたいが、残念ながらカメラは無く。心菜と真鈴が慌てた様にノートを取り出した。







 真っ白な空間。自分が立っている向きが、正しいのかも理解出来なくなるくらい、真っ白な空間だ。

 ついさっきも、少しだけここに来た。あの時聞こえた声の人は、どこに行ったのだろう。そんなふうに考え、キョロキョロしていると少年が現れた。


『やあ、さっきは間違えてしまって悪かったね』


 声だけの時は、もう少し歳上に感じたのだが、実際に会うと十歳前後に見える。声もそれに合わせるかのように、少しだけ幼い。


「他の人達は、何処に行ったんです?」

『彼等は船で渡って来た人間達を、導くための空間に居るよ。話が終わったら、君達にも行って貰う』

「「私達、死んじゃったんですか?」」


 打ち合わせた訳でも無いのに、亜美奈は桃子と同時に聞いていた。ピッタリと息を合わせて。

 ピッタリ合ったのが可笑しいのか、それとも内容か。少年がクスリと笑った。少年と言うか、多分絶対に神様なのだろうが、威圧的、いや後光を背負った様な壮大な雰囲気は無い。


『確かにこの場所は、君達が考えている【転生者が神と会って能力を貰ったりする場所】だけど、ボクから君達に上げるものは無いよ。だって君達、既に沢山持ってるだろう?』

「確かに、チートって言って良いくらい、持ってるかも」

「そうね、まだ使った事の無い魔法が有るくらい、色々持ってるわね」


 城の地下ダンジョンで遊ぶようになって、更に魔法が増えている。普段使わない攻撃魔法は、ダンジョンの中でも意外と実は使わないのだ。

 ではダンジョンの中でどう戦っているかと言うと、ほぼ物理で勝ち進んでいる。一応武器は使っているが、殴って突き刺して止めを指すことが多い。

 魔法は手順と相性を考える必要があって、中々に面倒なのだ仕方無い。


『魔法を上げるのは、君達の方』

「私達?」


 確かにこの世界に来たばかりの人達に、魔法を上げたり売ったりはしているけれど。こんな【如何にも】と言う場所で上げるのは、とても緊張する。


『あのね、君達は『神の手』って言うものを、何だと思ってる?』

「何って、天使と人間を結ぶ役目を持つ人、とか?」

「私もそんな風に思ってたわね。姿は人間だけど、人間と言い切って良いかと言われると、ちょっと違う気もするし。言ってみれば、エルフ的な感じかしら?」


 エルフ。言われてみれば、確かにそんな感じだ。ハッキリ人間だとは言い切れない所が有るが、天使の様な神寄りの生き物では無い。

 桃子と話した事は無いが、亜美奈も桃子の意見と同じだと感じた。エルフという種族名が、今迄頭の中に無かっただけで、考え方は桃子と同じだと思った。


『神だよ』

「「はいぃっ?」」







                  つづく

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