↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/100

鑑定はやばいです

本日二回目のup!です。

今日の一本目を読んでない方は注意して下さい。

 召喚されたのだと思っていた。おそらく三つ葉の全員が、そう考えているだろう。

 もちろん全員に何かの役目があるとまでは、きっと考えてはいないだろうが、いつか天使から切り出され『勇者様御一行』が召し上げられると。

 自分達がその勇者だと、一部、考えているグループもあるはず。


「いや、次々現れるからサポートしてるだけだよ。居てくれればして欲しいことは有るけど、世界の移動は一生の内一度だけっていうし、無理に呼び込むのは不味いだろ? 死す定めの人間族を、入れ替えてこっちに送り込んで来るっていう話しだけど、詳しくは判らないんだ」


 なるほど。と、三人で顔を見合わせ頷き合う。

 不味いの意味は解らないが、自分たちで呼んだわけでもないのにサポートしてくれるなんて、天使は良い人達だと思う。


「と、言う事で、次の説明に移っても良いかな?」

「あ、はい。よろしくお願いします」


 亜美奈がそう言って頭を下げると、心菜と真鈴もつられたように頭を下げた。


「これが、ダンジョンを創る道具で『ペンタブ』という物」

「板と棒?」

「で、ペンタブ?」


 ブルーの宝石のような透明の板の周りを、黒い石で取り囲んでいる板と、同じ様な二つの素材で作られた棒が渡された。

 隅の方には、家の鍵になっていたような光る球が幾つも並んでいて、そこに魔力を流すのだろうということが判る。

 名前がアレなのはもう、聞くまでもないだろう。と言うより、聞いたら負けのような気がしてくるから不思議だ。


「簡単に言うと、ダンジョンの構造や魔物や採取物の絵を描いて、自由に配置して行くだけで出来るようになってる。詳しい事は、神の手の『鑑定』を使うと判るらしいよ」

「鑑定って、どうやってやるんですか?」

「神の手にもそれぞれワードが有って、鑑定の類は『サーチ』だな。だけど、初めの数回は」

「「「サーチッ」」」

「鑑定に含まれる全ての情報が見えてしまうから、物の無い静かな所で落ち着いてやらないと駄目だよ、って……… うん、もう聞こえて無いね」


 凄い勢いで情報が飛び込んで来た。

 この家の構造や、中に置いてある物全てから始まり。周辺の地理、動植物に亜美奈達に悪意を持った生き物が存在するかどうか。

 話に聞いた精霊では無いかと思われる生き物の居場所も分かった。

 自分はもちろん、心菜と真鈴のスキル? 『手』? の内容も見え隠れする。

 あとは物の構造・作り方・その材料とレシピ。

 海の向うの筈の三つ葉学園高校の姿も、なぜだか見えて来た。

 残念ながら、上空から眺められただけだったが。


「大丈夫か、三人とも?」


 声は心配そうなのに、顔をみれば呆れているのが丸わかりのミケル。

 この場合、呆れられて当然だと亜美菜も判っているのだが。


「残る道具を説明しちゃうから、ぼんやりで良いから聞いておいてくれ。詳しくは、後で案内する部屋なら、鑑定しても大丈夫だからその時で」


 ぼんやりとミケルの声を聴き、コクコクと頷く。

 すると、紙飛行機をデザインしたチャームの付いた、サコッシュショルダーバッグをまとめてテーブルに置く。

 バックは三つとも白い色をしているが、チャームは三色あり、食器棚と同色に染められていた。


「これは『ゲーマー』達の自信作で、『バッグ』と言う。片手でバッグに触れて、もう一方で引き戸を開けるように、手の平を外側に向けて内から外にスライドさせる。そうすると、枠が表示されるんだ。収納したい物を触れた状態でその枠に触れると、収納完了。同じ物なら一つの枠に九十九個入るから、工夫すればかなりの数入る事になるね。

 出す時は、同じ要領でも出せるし、バッグに手を入れて欲しい物を思い浮かべれば、出すことも出来る。まとめて沢山入れてある物は、手を入れる方の方法で一つだけ取るほうが面倒が無いな。

 あと、時間は止まらないから、食べ物を入れる時は例の箱に入れてしまわないと、中で腐っちゃうからね」


 それなら、大きな袋を幾つか作って置いたほうが良さそうだ。

 細かいものは同時に使う物ごとに纏めて、それからしまって置かないと枠が勿体ない。

 とはいえ、出し入れが頻繁になるだろう物も有るだろうし。使ってみてから、工夫して行く必要が有る。


「外側のポケットの方は、普通にその大きさの物が入るから、うまく使って行ってくれ。

 最後はチェーンにぶら下がってる玩具だけど。これは、外して地面に置くと大きくなって空が飛べる乗り物だ」

「えぇ~、飛びたいぃ~」

「ボクも飛びたいっ。学園まで飛べる?」


 急に元気になった、心菜と真鈴。

 ミケルは一瞬だけ目を丸くして、それから笑顔で頷いた。


「もちろん行ける。けど、あそこが嫌で逃げ出したんじゃ無いの?」

「あ~、そうなんだけどぉ」


 とても言いづらそうに心菜は、チラチラと真鈴の方を見るが、真鈴は真鈴でフォローに困ると顔を背けてしまい。その挙句が、二人揃って亜美奈へのすがるような視線だ。

 仕方なく、亜美奈はこっそりとため息を吐いた。


「心菜と真鈴は、兄弟が別の校舎に住んでいるはずだし。生まれてからずっと高校の近くに暮らしていたから、親戚や幼馴染も沢山いるんです。逃げたかったのは、悪意の有る人達と同じ建物で暮らすことを、強要されていたからなんです」

「そうなのぉ。だからちょっとぉ、心配でぇ」

「連れて来たいとは言わないから、ボクもちょっとだけ、見に行きたいんだ」


 それが学校生活という物だから、我慢して卒業をしなくてはならない。

 元の世界に居るのなら、そうするべきだった。だがここは異世界であり、卒業すべき高校もただ建物が有るだけで授業も無い。

 皆で協力して、生きて行くための糧を得よう。

 それも当然だが、命が掛かっているのに悪意を持つ人と、生活しなくてはならないのは厳しいものが有る。

 だから逃げた。


 もっとも亜美奈は、あの学園内にはほかに友達もいない。

 普段から気にかけてくれていた委員長や担任の事は、少しだけ気にはなるがそれだけだ。

 だから、自分ひとりだけなら戻る気は無い。けれど、心菜と真鈴が戻りたいなら、手助けはしたい。

 二人が居なかったら、自分はどうなっていたか判らないから。


「あの周辺にもダンジョンは必要だし、三人にやって欲しい仕事も有る。ある程度の事が出来るようになったら、頼みたい仕事の前でも、一度覗きに行ってみようか」

「ダンジョン作るんですか?」

「じゃないと、あの辺の動物も草木も絶滅しちゃうからね。大陸の方に大きめの城が落ちて来た時、実際に丸坊主になったらしい。だから今回は、慎重になってるんだよ」


 生徒だけでも九百人近くいる。

 それに教師・職員を入れれば千人を超えるはずだ。

 更に不味いのは、牛・豚・鶏がそれなりに居たはず。

 食べられていなければ、だが。

 おそらくはこれからの事を考え、増やす方向で行ってるのでは無いかと思われるが、普通科の生徒である亜美奈達には解らない。

 それだけの胃を満足させるには、やはり食べ物もたくさん必要になるだろうし。


「こっちの周りの山も、丸坊主になっちゃうかもね」


 あり得そうで怖い。

 食べなければ生きて行けないから、仕方ないのだが、丸坊主は不味いと思う。

 だが、


「ダンジョン作るとぉ、丸坊主にならないのぉ?」

「作り方によるけど、食べられる野菜や果物・魔物なんかが獲れるようにすれば、山からは獲らなくなるだろ? 君たちの作るダンジョンは初心者向けだから、木の棒だけでも攻略出来るしね」

「勇者が一番初めに持つ装備だ」

「ヒノキの棒だね~」


 話している内気分もすっかり良くなったため、昼食を摂ることにした。

 今日のメニューはスパゲッティミートソース。それにミニサラダとリンゴジュースが付いてる。

 ミケルの方は、可愛いバスケットに盛られたサンドイッチを食べている。

 城にいるパートナーが作ってくれた物だそうで、とても美味しそうだ。


「一週間かぁ………」

「どうしたの、真鈴?」


 突然憂鬱そうな声を出して、と亜美奈が真鈴の顔を覗き込んだ。

 二人に挟まれるように座っている心菜も、同様に真鈴の顔を覗き込む。


「だって、一週間経ったら自分でご飯作らないといけないんだよ。ボク、料理は苦手だし。そもそもこの辺りって、店も無いんだから材料買えないじゃん」


 この辺りと言うよりも、この世界に店が有るかどうか判らない。

 ミケルの話では、大陸の方にも人が居るらしいから、そちらに行けばあるいは有るかもしれないが。

 そうなると、作るか狩るかになるが三人とも普通科であり、農業も畜産も経験が無い。

 運動神経も大きな声で言えない程度のため、狩りも怪しい。

 釣りは釣り竿が必要で、さらには虫を餌にしなければならないため、触りたく無いとなると難しい。

 もちろん、飢える前には頑張るが。


「その辺りはダンジョンを造れば………」


 言いかけたミケルの言葉を遮るように、フワフワと赤い光が四人の方に飛んで来た。

 家の鍵にしたあの球と似た光にも見えるが、何故か同じものとは思えない。

 大きさもだが、あの光はただ光っていただけだったが、これは意思を持って飛んでいるように見えるからだ。

 そして、その感覚は当たりだったらしい。


「これが精霊だよ」

「精霊?」

「誰かにくっついて入ったみたいだね」


 精霊と言えば虫のような羽をもつ、人の姿をした不思議な生き物だと思っていただけに、この光には驚いた。

 けれど、


「これがこの世界の精霊なんですね」


 亜美奈がそおっと手を伸ばせば、触れた瞬間テーブルの上にコロンと石が落ちた。

 赤い、ルビーのような石だ。


「一先ず預かっておくよ。あの袋に入れると同時に、鑑定が始まってしまうからね。精霊の鑑定だけなら良いけど、レベルが足りないと持ってる鑑定全部一気に来る」

「つまり、さっきのアレ再びって事ですか?」


 亜美奈が聞くと、ミケルは苦笑しつつ頷いた。

 それは嫌だと、亜美奈はすかさず石を差し出す。






                        つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。