あと少しです
「じゃあ、亜美奈はここで作ってるです。私は桃子を迎えに行って来るです」
「うん、行ってらっしゃい」
扉に向かうアンジェに手を振り、亜美奈は作業台に向かう。雑誌の写真を元にレシピを作り、それを指定すると、何時ものようにこびとが現れる。
初めてのレシピでも、こびとは自信満々だ。その指示に従って作業すれば、あっという間に出来上がり。
クマの顔が付いた小さめなタオルケットは畳めばクッションになり、お出かけにもピッタリだ。
大満足で亜美奈は、二つ目に取りかかった。
作って作って、作り続けた。時々レベルを確認し、また作る。
大きい物は置き場に困るから、最後は小さなぬいぐるみにした。
動物のは途中で飽きて、人型の物も作ってみた。その内洋服も作って、着せ替え人形にしても良いような人形だ。
だがレベルが上がれば、当然レベルアップに必要な経験値は沢山必要になるものだ。
後少しという所で、レベルは頭打ちになり。結局、何でも良いから作るようになっていた。
「何これ、凄すぎるわ」
「いっぱい作り過ぎです」
桃子とアンジェの声がした。
そう言えば、お腹もすいた。
「おや、随分と沢山作ったのですね」
ラフェルの声もした。
最後にもう一度ステータスを確認し、亜美奈は作業を止めた。
「後少しでレベルが五十だから、ついついムキになっちゃって」
その少しが上がらないのだ、残念ながら。
「五十になると、何か有るの?」
「精霊を付与出来る」
「それで?」
「さあ……?」
説明文にも、それ以上は書いて無い。だから判らないのだ。
「ラフェル様、何か知ってるです?」
「私も聞いたことが有りません。ただ、恐らく渡り鳥に付いて来た精霊が持っていたスキルだと言う事は、想像が付きますね。鳥の姿に成長した精霊が、渡り鳥にまとわりついて遊んでいるのを、時々見かけます」
「それって、鳥は迷惑じゃ無いです?」
「さあ? 鳥は話せませんからねぇ」
つまりこれは、別の国から来たスキルと言う訳だ。
大陸か、それとも南の島々だろうか。
その国に行けば、精霊が付与されたぬいぐるみが、いっぱい居るに違いない。
「みんながこの魔法を持っている国、いつか行きたいねぇ」
「ええ、私も行ってみたいわ」
「私も行くです。みんなで行ったら、きっと楽しいです」
けどその前に、沢山やる事が有りそうだ。
三つ葉の引っ越しに、今日落ちて来た人達の町造り。
きっとまた、別の人達が落ちて来る事も有るだろう。
「私の見立てでは、コレの大きめの物を幾つか作れば、目標のレベルに上がりそうですよ」
着ぐるみパジャマとクッションになるタオルケット。
「だったら、私達のパジャマと夏用ケットを、お揃いで作ってくれないかしら? 出来上がったら三人で、パジャマパーティーをしましょう」
「良いね、それ」
あと少しだ、チャチャっと作ってしまえ。と、素材を揃えようとしたが。
「今日はもうお疲れのようですし、また明日にした方が良いですよ」
確かに、少し疲れているかもしれない。
それに、部屋中ベビー用品だらけだ。
「ここに有るものは、私が頂いて行きます。お礼はまた後日、お持ちしますね」
「はい、ええと…… 楽しみにしてます」
「今日はゆっくり、お休み下さい」
そう言ってラフェルは、アンジェの腕を引いて帰って行った。
亜美奈が休めるように、おしゃべりが好きなアンジェを連れて帰ったのは理解出来るが。
「桃子、私って、そんなに疲れて見えるかな?」
「疲れて、って言うか、興奮気味に見えるわね。少し落ち着いて、のんびりした方が良いかしら?」
「そっか。必死で作り過ぎちゃったかな。でも、ぬいぐるみの変なスキルが気になっちゃってさ、後少しだからムキになってたんだよね」
ぬいぐるみに付与をするなんて、面白そうなことを見付けてしまったら、放置しては置けないのだ。
「レベル上げって楽しいから、ムキになる気持ちは判るけど。今日はゆっくりお風呂に浸かって、早めに寝ましょう」
疲れていると言うなら、桃子の方が疲れていそうに見える。
検査の経験は有っても、医者との連携は今回が初めてだ。医学部を出た人達は、プライドも高くやりにくい事も有っただろう。
桃子を休ませる為にも。そう考え、夕食の後は大人しく風呂に入り。思ったより、自分が疲れていた事に気づいた。
なるほど、レベル上げで興奮し過ぎで疲れに気づけなかったのだ。
次からは気をつけよう。そう思い、普段よりも随分と早くベッドに入る亜美奈だった。
つづく
ゆっくりゆっくりですが、ちゃんと続きは書いてます。
ノンビリですが、エンドマークは絶対付けるので、偶に覗いてみてくれると嬉しいです。




