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いっこの差  作者: 夢呂
【第一章 】
64/283

クラス会のあと

クラス会が終わったのは夕方の6時過ぎだった。


カラオケ店から皆が出て、解散となり、

それぞれ仲の良い友達とバラバラになる。


菜奈は、これから甚と会うというので、

私は一人家に向かって歩き出した。


色々つまんだりしたから、

お腹すいてないけど、

お母さんきっと夕御飯用意してるよね…。


家に電話すると、

お母さんに「今から帰るよ」と伝える。


「待ってるわ、気を付けてね」

電話越しにお母さんが言う。


電話を切って、また歩き出す。



すると、今度は着信があった。

「はい?」

「茗子、今どこ?」


ーーーーハルくん!!

お母さんだと思い込んでいたので、

着信画面を見ずに出ていた私は、

驚いて息をのむ。


「…今、帰ってるところだよ」

「どの辺り?」

「えっと…駅前から少し歩いた、○×ショップの近く…」

驚きながら、私が辺りを見回して言うと、

「ちょっと、そこにいて」

「え?」

そこで電話が切れた。


「茗子!」

それから5分後…、ハルくんが走ってきた。


「どうしたの?ハルくん」

私は急に会えて、またドキドキし始める。


「ーーー実はさ、ホワイトデーのプレゼント…今日一緒に買いに行こうと思ってたんだ。」

「え?」

もしかして、公園で言おうとしてたことって…。


「ーーークラス会のこと、すっかり忘れてて…。卒業式の後は、クラス会が恒例なのにな。ーーー俺、自分のことしか考えてなかった…」

勝手だよな、とハルくんが照れたように言う。


「ハルくん…」


「で、結局一人で街をブラついてたんだ。」

「そっか…」


「ちょうど会えて良かった。はい、これ」


立ち止まると、

私に可愛いリボンがかかった小箱を手渡す。


「これ…」

「開けてみて」

ドキドキしながら、リボンをほどき、箱を開ける。


ーーーわぁ…かわいい…。

自然と笑みがこぼれる。


小さなハートのついた、シンプルなネックレスだった。


「気に入ってくれた?」

「うんっ、すっごく可愛い!!」

「良かった…」

私が力強く言うと、

ホッとしたように、ハルくんが笑った。


ーーーー嬉しすぎる…。


「つけてみる?」

そう言って、ハルくんがネックレスを手にすると、

私の後ろに立つ。


ハルくんが近くて、ドキドキ心臓がうるさい。

「髪、あげて?」

長い髪を片手で右に寄せる。

「っつ…」

首にヒヤリと金属の冷たさが伝わる。

「はい、できたよ」

「あ、ありがと」

「うん、かわいい」

満足そうに笑うハルくんの顔が、

かっこよくて直視できない。


「き、今日寒いね…」

話をそらすと、ハルくんが手を差し出した。

「そうだね」

「あ…」

話しながら自然に私の手を繋ぐ。


ーーーーうわ…鎮まれ心臓……。


「これで、寒くないかな?」

覗きこむハルくんの顔が近くて、

私はドキドキが止まらない。


ーーーードキドキしながら、ハルくんと帰る道。



ーーーこうして、

私の中学の最後の日は、

思いがけず、忘れられない、最高の日になった。



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