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いっこの差  作者: 夢呂
【第一章 】
62/283

卒業式

蕾だった桜の花が少しだけ開き始めた。


「私達は、今日、卒業します」

卒業生代表の生徒会長の声が、

体育館に響き渡る。


ーーーー去年、

ハルくんが同じ台詞を口にしたとき、

私は切ない想いで見送ったっけ。


そんなことを思い出しながら、

今日、卒業した。





「このあとの全員参加のクラス会だけどさー…」

斎藤くんがクラスに戻るとすぐにみんなに声をかける。


「四時に駅前に集合な。」

クラス会は、カラオケに行くことになっている。


皆は最後の時間(とき)を写真におさめていた。


「茗子、菜奈、一緒に写真撮ろ」

クラスの女子に声をかけられて、

写真を撮っていると、斎藤くんが私の前に来た。


「相田…ちょっといい?」



「何?」

教室からでて、人気のない廊下まで行くと、

斎藤くんが言った。


「別にたいしたことではないけど…」


「?」


「ありがとな。

俺、今年また同じクラスになって、

文化祭委員になってから、

相田と普通に話せるようになって…嬉しかった」


「あぁ、うん、私も…」

ーーー同じこと、思ってたんだ。


「俺はさ、東高校だから。相田と話すのも、今日最後かなって思って」


「そうなんだ…」


「いろいろ、ごめんな…。ありがとな」


「ううん。私こそ…文化祭の時、色々気を遣ってくれてありがとう。一緒に委員だったのが、斎藤くんで良かった…」


私が頭を下げて、顔を上げてみると、

真っ赤になった斎藤くんが、

じゃあっと言って、

すぐに教室の方へ行ってしまった。



ーーーちゃんと、仲直りできて良かった。


一年生の時の心の傷は、

今日で完全に癒えた気がした。










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