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いっこの差  作者: 夢呂
【第一章 】
49/283

“友達”~航目線~

「茗子…行っちゃったね」

菜奈ちゃんが呆気に取られたまま言う。


「ついに、自分の片想いにケリつけるんだな…」

甚は、しみじみと言う。


そんな二人と向かい合っていた俺は…、

ただ、何も言えずに紅茶を飲んでいた。



――――あんな、イキイキした顔の茗子ちゃん、

初めて見たかも。


眩しいくらいにキラキラして、

あんな可愛い子に告白なんてされて、

断るやつなんかいるかよっ!


ドンッと思わずテーブルを叩くと、

我に返る。


「あ、ごめん…」

「航さぁ、お前まだ茗子のこと、引きずってるのかよー…。次の恋を探せって、お前ならいくらでも見つかるから!!」

甚がため息をつきながら言う。


―――そんなこと、分かってる。

俺だって次の恋にいきたいと思ってるんだ…。


俺が黙っていると、

「仲西くん、役に立てなくてごめんね…。」

菜奈ちゃんがすまなそうに言う。


―――菜奈ちゃんが謝ることなんてないんだ。




――――文化祭の時に、

春先輩(あいつ)に言われた時のことを思い出してしまう。



『花火大会の“友達”?だろ?』

あいつは、“友達”“友達”と強調した。

―――まるで、そうじゃなければ許さないとでも言いたげに。



『二度と、泣かせたりしないでね。俺の大事な妹なんだから』

顔は笑っていたけど、怒りを感じさせる声色で、

何も言い返せなかった。


あいつは茗子ちゃんのことを、“妹”だと言った。


でも、

“大事な俺の(もの)”だ、と


俺にはそう聞こえて、

あいつの本当は笑っていない目にとらわれて、

俺は敵わないと思ってしまったんだ。



―――明日か…。


“友達”なら、こんなとき、

上手くいくと良いと、

願うんだろうなー―――。




もし、上手くいかなかったときは……。




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