表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いっこの差  作者: 夢呂
【第四章】
278/283

春の気持ち~春目線~

「え…?」

電話の声が聞こえなかった訳じゃない。


ただ、信じられなくて…俺はつい聞き返してしまった。


『私…ハルくんが好き。だから…アメリカから帰ってきたらーーー私と結婚して欲しいの…。』



「それは…すぐには結婚出来ないってこと?」

―――来年からアメリカ行きが決まっているし、

そこから二年はアメリカで仕事することになっている。


茗子とともにアメリカで暮らしたいと願っていた俺は、

つい口調がきつくなる。



『離れてても大丈夫なこと…ちゃんと証明したい…』


「何でそんな事…」


『………ハルくんは高校の時、私と別れて、私が…他の人と付き合えば良いと望んでたの?』


「え…?」

突然、茗子が訳の分からない質問をする。

―――そんな事、思うわけないじゃないか…。


『サクちゃんに聞いたの…』

―――あいつ、何でそんなことを…。


「茗子…何か誤解してる?

俺は…他の誰かに盗られるのが嫌で…だから咲に託していったんだよ…茗子を俺の知らないヤツに渡さないように―――」



『―――え…』


「でも、まさか咲と別れるとも思ってなかったし、卒業前には仲西(あいつ)に奪われるとも思ってなかった。」


――――全ては、俺の誤算。

茗子の気持ちが仲西に向くのが、あんなに早いなんて。


「…ただ、俺が望んでいたことは…、茗子が笑顔でいられることだから。」


―――でも、俺さえ我慢していれば…仲西(あいつ)が茗子を守って…茗子は笑顔でいられる。


先に、手を離した俺が、何も口出しできるわけない。


『……ハルくん』


「まぁ…正直に言うと、俺の知らないヤツにとられるよりは、咲とか仲西とか…まだ信頼できるヤツだったら安心だなと思ってた」


――――中島とか…牧野とかよりは…よっぽどマシだ。



『私…ハルくんが好きだよ?ずっと変わらないよ』

日本にいる茗子の声が、アメリカにいる俺の耳元で甘く響く。



「早く…会いたい」

会って抱き締めたい。


茗子…好きだ。もう誰にも渡さないから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ