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本当の理由
「おはよ…」
私が目を覚ますと、すでに起きていたハルくんが、
隣で幸せそうに微笑む。
「おはよう」
「ねぇ茗子、これ…東京にわざわざ持ってきたんだ?」
ーーーー私の部屋で一夜を共にした…翌朝、ハルくんが嬉しそうに言う。
先にベッドから起き上がって、ハルくんが手にしていたのは、
ーーーーハルくんが私にくれた…最後のプレゼント…。
うさぎのぬいぐるみだった。
ーーーーハルくん、覚えてたんだ…。
何となく恥ずかしくなってうつ向く。
「ーーーーねぇ、茗子…。何でも話してって言ったよな」
ハルくんがうさぎのぬいぐるみを私に渡しながら、
ベッドに座って話し出す。
「うん…」
ーーーー何か…隠してたの…?
嫌な予感がして、うさぎのぬいぐるみをぎゅっと抱き締める。
「ーーー話すよ…、俺が日本の…茗子の会社に転職した理由。」
「理由…?」
ーーーー偶然…じゃなかったの…?
「会社を買収しに来たんだ…」
「え…?」
ーーーーハルくん、何言ってるの?