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いっこの差  作者: 夢呂
【第四章】
269/283

新入社員時代

「茗子、何があった?」

ハルくんが座り込んでいる私に手を貸してくれ、

会議室の椅子に座らせてくれる。



「―――経営企画部の田中部長となに話してた?」


「――――…。」


「茗子?泣いてても…分からないよ?」

ハルくんが震える私の身体をそっと抱き締める。

――――不思議…ハルくんに触れると落ち着く…。



「私…入社したとき、経営企画部だったの…。男の人しかいなくて…人数も総務より少なかった。新入社員も私だけで…。」


私はハルくんにぽつりぽつり話し出す。


思い出したくなかった、出来事を――――。



「田中部長は、私に仕事を教えてくれた…でも」

――――社会人になったばかりの私には…、あまりに辛くて…。


「セクハラされるようになって…」

――――太股を撫でられたり、お尻を触られたこともあった…でも…はっきり嫌と言えなくて…、エスカレートして…。


『愛人にならないか?』

――――突然そんなことまで言われた。



「私、悩んだ…悩んで…会社の相談窓口に連絡したの…」




――――なのに、なぜか田中部長にはなんのペナルティもなく、私は…突然総務部に異動となった。


「茗子、ごめんな…。そういう話だったなんて…」

「………。」

私は黙って首を振る。


「茗子、もう大丈夫だよ…」

ハルくんが優しく背中を撫でてくれる。

「もう絶対…、そんな目には遭わせないから」

ハルくんが強い口調で言った。



その時の私は、まだ何も知らなかった。

――――ハルくんがうちの会社に来た、理由を…。

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