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いっこの差  作者: 夢呂
【第四章】
266/283

ハルくんの理由

「隣、いいですか?」

私が独り、食堂で昼食を食べていると、ハルくんが隣に座りながら聞く。


「良いって言ってないですけど?」

―――可愛くないことばかり言って、言ってから自己嫌悪に陥る。


「―――俺の“彼女”のこと、気にしてくれてるんだ?」

ハルくんが微笑む。


「そんな理由じゃないです。」

「じゃあ…ヤキモチ?」

ハルくんが悪戯な顔で微笑む。


「や、ヤキモチ?ーーーハルく…っ、澤野さん頭大丈夫ですか?」

つい社内で“ハルくん”と呼びそうになって、赤面する。


「――――居ないから」

ハルくんがそんな私を可笑しそうに見て言う。

「え?」

―――居ない?って……彼女が?


「歓迎会で美樹さんに聞かれたとき、嘘ついた」

「え?」

―――嘘、なの?


「ここに入社してからあまりに飲みの誘いが多くて…断る理由が欲しかったんだ」


ーーーどこかでホッとしていた自分を、隠すように定食のごはんを口に運ぶ。

「――――へぇ、そうですか。」



「安心した?」

ハルくんが微笑みながら、私の顔を覗き込む。

「し、してない。関係ないですからっ」

ダメだ…完全にハルくんのペースにのまれてる。


「―――なんか、そういう茗子も、可愛いな」

誤魔化すように、しばらく黙々と定食を食べていると、

ハルくんがじっと見ながら愉しそうに呟いた。


―――…え?

食べ物を、咀嚼しながらハルくんを見る。


「ツンデレってやつ?」

ハルくんが幸せそうに微笑む。



不覚にも、ドキッとしてしまった。

―――ハルくんが、あまりにカッコよく見えてしまって。





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