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いっこの差  作者: 夢呂
【第四章】
259/283

誘われる

「―――なんか、怒ってます?」

隣に座ってる、中途入社した社員が私に尋ねる。


「怒ってませんよ?なにも」

私はニッコリ微笑んで答えるとまたパソコンに向かう。


「いや、でも…」

また話し掛けようとしてくるので、私はノートパソコンを閉じて、席を立つ。


「澤野さん、私今からちょっと外出しますので。」

「じゃあ自分も行きます…」

ハルくんが立ち上がろうとする。


「これは、澤野さんに引き継ぐ仕事ではないので。」

近くの人達に、外出しますと告げて、ホワイトボードに外出と書いて、オフィスを出る。



――――なんで私がこんなイライラしなくちゃいけないの?


本当に…なんなの…。



その時携帯電話が鳴る。

――――航からだった。



「………もしもし?」

『茗子?今日の夜空いてる?』

「――――空いてても、会わないよ?」

『今、東京にいる。出張で明日帰るんだ…。逢いたい…』



――――“逢いたい”…。

すれ違っていく時、言えなかった言葉。

言われなかった…ことば。


反則だ…今になってそんな事…。


「―――…」


『もしもし?茗子?――――今夜7時に、……駅で待ってる。』


「行かない」


『待ってる…じゃあ』

プツンと電話が切られる。


一方的に言われて、一方的に切られる。



――――航…。


私は暫く携帯電話を見つめたまま、立ち尽くしていた。



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