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いっこの差  作者: 夢呂
【第四章】
257/283

ずるい告白

『もし、何年か後に会って、お互いもっと大人になって…その時に恋におちたら、きっと上手くいくよ俺達は…』


高校生の時、私をフッたときの、ハルくんの言葉。

今、思い出して…どうするの?








「茗子、会えて良かった」

――――“逢いたかった”って 聞こえる。


ハルくんに、呼び出されてお洒落なカフェに入る。


「ハルくん、さっきのは何?冗談だよね?」

ドキドキしながら、私が尋ねる。


「本気だよ、俺はずっと茗子が好きだから」

ストレートに言われて、私が照れる。


「茗子は、今の彼と…長いの?」

ハルくんが落ち着いた雰囲気で話し出す。

仲西(あいつ)と、まだ付き合ってるかと思った」


「――――ハルくんには関係ないで…」

「関係ある、茗子が好きだから。…教えて?」


「―――その前に、ハルくんから教えて?」

「ん?」


「どうして今更私の前に現れて…そんなこと言うの?」

私が問いかけると、ハルくんは少し黙った。


コーヒーをゆっくり口に運ぶ。


一口飲むと、ハルくんが話し出した。



「あの頃の俺は、ガキだった。

茗子が好きすぎて…精神状態をもうまく制御出来なくて…傷付けたくないのに泣かせてばかりで。

あぁ、今の俺じゃ駄目だなと思った。」


――――ハルくん…。


「―――俺のひい祖父さんはさ…、アメリカ人なんだ。

俺はずっと英語に興味があったし、アメリカで生活したい、自分のことを試したいと思ってた。」



ハルくんから飛び出す初めての話に、驚きながらも…、

聞き逃さないように、黙って聞いていた。



「茗子と比嘉先輩のこと、俺が勝手に誤解してケンカ別れっぽくなったけど…。

あの頃、そのまま…別れたまま卒業しようって決めてたんだ。

遠距離恋愛をして、茗子に寂しくて辛い思いさせたくなかったし、

日本(そば)に居ない俺が、茗子を束縛するのは…違うと思ったから。」


――――ハルくん…。


「でも、アメリカに行っても、茗子のことは気になってたよ。

たまにおじさんやおばさんにも会ってたしね。」



―――え、うちの両親とアメリカで会ってたんだ…。

お母さん、そんなこと一言も言ってなかったのに…。


「東大現役合格したって、おばさん自慢してた」

ハルくんが笑顔で話す。

「茗子、頑張ったな!」



――――ハルくん。




「はい、じゃあ次は茗子の番。」

ハルくんが私をじっと見つめて言う。


「今の彼とは…」

「昨日別れた。」

私がハルくんの言葉が言い終わらないうちに答える。


「えっ!?」

ハルくんが驚いた声をあげる。


「やっぱり…違うと思ったから。」

私がうつ向いて言うと、


「仲西とは?いつ別れた?」

「成人式の日。―――お互い好きだったけど、すれ違ってしまって」


「そっか…」


「でも、……結婚しようって言われた。先週。」

私が菜奈の結婚式で再会したことを話した。


「――――それで、茗子はなんて返事した?」

暫く黙っていたハルくんが、私をまっすぐ見つめて聞く。


「出来ないって答えた。―――今はまだ、東京(こっち)で仕事頑張ってみたいし…。地元には戻らないかな…。」


私がそう答えるとハルくんがホッと息を吐く。



「茗子、俺とのこと…真剣に考えてくれる?」

「ハルくん…私、戻れないと思う。」


「あの頃の気持ち、今は持ち合わせていないの。」


「そっか…じゃあ仕方ないね…」

ハルくんが微笑みながら言う。


――――あれ?なんでそんな余裕な表情なの?



「そしたら俺の片想いで居るから」






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