別れ話
「ごめんなさい…やっぱり私…付き合えない」
告白された場所でもある、冬吾といつも呑みにくる場所で、
私は、すぐ頭を下げる。
「どうして?俺のこと嫌いじゃないって――――」
「ごめん…。」
「メイ…。やっぱり元彼に会ったから?」
「―――違うよ、彼とはちゃんとかお別れしてきた。」
「じゃあこれから好きになっていけばー――」
「前に…話したよね?私が高校の時に“お試し”で付き合ったことあるって。
―――私、その時好きになりたいって…努力しようって付き合い出した…。
でも結局…彼を傷つけて…すごく傷つけて…」
私は、思い出すのもツラい…苦い思い出を話し出す。
「俺は、その“彼”じゃない。」
冬吾が納得いかないと声をあげる。
「―――でも…分かるの。―――冬吾とこのまま付き合っても、私は、冬吾を傷つけて終わるって…あの時みたいに」
「そんな事勝手に決めんなよ…」
「本当に、ごめん…」
――――傷が深くなる前に、キッパリすべきだと思うから…。
「――――送るよ」
「平気、ありがと」
冬吾の親切を断って、私は歩き出す。
――――『分かった…別れよう…』
帰る直前に、不本意な口調で、冬吾が言った。
あんなに、素敵で優しい人………私にはもったいない。
これで、良かったんだ…。これで。