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会社での再会
「メイ」
檜山冬吾、現在の彼氏が私のことを呼ぶ。
会社の同僚からは、入社からその愛称で呼ばれていた。
「おはよう」
「おはよ」
部署のフロアーが同じなので、一緒に五階でエレベーターを降りながら話す。
「昨日の友達の結婚式、どうだった?」
冬吾が私に尋ねる。
「うん、綺麗だった」
「元彼も…来たんだろ?」
付き合う前は、飲み友達だったから…恋愛の話も冬吾は全て知っていた。
「うん…」
私は、罪悪感で顔が見れない…。
「メイ?」
「何でもない…。あ、朝礼始まるよ?」
話をそらして、冬吾を避けるように自分のデスクに向かう。
「今日は、わが社に新しく中途入社した社員の紹介をします」
司会をする総務部の主任が、マイクで話す。
一番広い、大会議室を使い、総務部と営業部が合同で月に一回朝礼をおこなう。
「総務部に配属になった、澤野 春さんです。」
――――え?
目の前には…高校の卒業式以来、会っていなかった…
ハルくんの姿があった。
――――ウソ…でしょ?