表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いっこの差  作者: 夢呂
【第四章】
242/283

卒業~春目線~

卒業生代表の挨拶を終えて、卒業式が終わりに近づく。



―――今日俺は、高校を卒業した。




「春先輩…、ずっと前から好きでした!」

「そ、卒業おめでとうございます!」

一年生と二年生の女子が、花束をくれる。

―――こっちは、名前も知らないのに…。


遠くに茗子の姿を見つけた。

俺は、自然と茗子に近付いていく。


「ハルくん…卒業おめでとう」

茗子が花束をくれた。

―――正直、貰えるなんて思っていなかった、話すら…出来ると思っていなかった。


「ありがとう」

嬉しくて、つい笑顔になる。

俺が笑顔になると、茗子はいつも…赤くなる。

でも、今日は…ならなかった。



「アメリカ…頑張ってね」

「寂しいとか、行かないでとか言ってくれないんだ?」

俺が構って欲しくてわざとそんな事を口にすると、


「言っても…ハルくんは行ってたでしょ?」

茗子が微笑む。



―――あぁ、もう…仲西に奪われたんだな…。

茗子の表情で、嫌でも思い知らされた。

俺のことは、もう…なんとも思っていない…。


―――自分が望んだことなのに、苛立ちが消えない。

こうなるように仕向けたのは、俺なのに。


遠距離になって、不安な思いをさせたくない。

俺とだけ付き合って、狭い世界に閉じ込めたくない。


だから、わざと手離した。


今さら、悔やんでも仕方ない…茗子の幸せは壊したくない。



茗子が側にいるのが仲西(あいつ)なら…

まだマシだろ…。


あんなに、一途に想っていたんだから…。




でも、

俺が、日本(ここ)に戻ってきた時に、茗子とまた出逢えたら…。


その時、俺は今度こそ、逃がさないから―――。



「じゃあな、茗子!幸せに…」


それまで、幸せに過ごしていて…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ