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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
241/283

デート

「次の日曜?」

バレンタインデーから数日経ったある日、

航くんが久しぶりに、休み時間に私の席に来て声をかけた。


「うん、水族館行かない?」

航くんが言う。


「行くっ」

私が嬉しくて声を弾ませると、

「うん、じゃあまたメールで連絡する」

航くんがそう言って、離れていく。


―――水族館…、航くんと。






航くんと水族館に行く日、家を出ると航くんが居た。

「えっ」

突然のことに驚いていると、

「ごめん…待ちきれなくて気付いたらここにいた」

航くんが言う。


私たちは、手を繋いで歩き出す。


――――私たち…付き合ってる?


聞くタイミングを逃して、結局一ヶ月経ってしまった。


教室での航くんは、いつもと変わらない。

たまに話しかけられるし、私も話す。

でも、お昼はお互い別々で…友達と食べるし、

帰りはたまに待っててくれるけど、部活が違うから毎日一緒ではない。

朝も、たまに今日みたいに迎えに来てくれるけど、毎日ではなかった。



「今日は、シャチ見れるかな」

航くんが楽しそうに言う。

「前は見れなかったもんね…」

あれは、確か中三の夏休み…。

シャチは風邪で見れなかったんだよね。



「まぁ、見れなくても茗子ちゃんとデート出来るから良いや」

航くんが照れながら言う。


「う…」

――――そうやって、突然言われてると赤面しちゃうから…。


「今日も、可愛い…」

航くんがチュッとこめかみに素早くキスをする。


私は、ますます赤くなる。



―――やばい…幸せだ…。

こんな気持ちになれたのは、久しぶり…。






「楽しかったね」

水族館の帰り道、航くんが口を開く。

「うん、シャチも見れて良かったね」

私が返事をすると、航くんが立ち止まる。


「本当はさ…思い出の上書きしたかったんだ」

「え?」

「水族館は…茗子ちゃんにフラれた場所だったから…」

「航くん…」

あの時は、ただハルくんが好きで…航くんからの告白を断った。




「好きだよ」

航くんが突然真剣な眼差しで言う。

「………」

―――急に…どうしたんだろ…。

私がドキドキしながら赤くなっていると、


「茗子ちゃんは?」

航くんが問いかける。


――――好きだよ。


「――好きだよ」

私は、航くんに抱きつきながら伝えた。


――――航くんが、好き。


「私と付き合ってください」

私が言うと、航くんが赤くなりながら抱き締め返す。


「ズルい、俺から言うつもりだったのに…」


顔を見合わせて、微笑み合う。



―――この幸せが、ずっと続けばいいのに。





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