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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
238/283

時間を戻したい~航目線~

「一年だったんだ!!犯人。」

「でかした、航!」

部活が終わった帰り道、菜奈と甚と愛梨に報告する。


「で、茗子は謝ったら許しちゃったわけ?私なら警察つき出すわー」

愛梨が言う。


「茗子なら、謝ったらもういいって言うでしょ。優しいから」

菜奈がため息をつきながら言う。



「で、チョコ貰った?」

愛梨がワクワクしながら聞く。

「チョコ?…まぁ、今年はかなり多かったなぁ…」

俺が手に持っていた紙袋を見せて言うと、

甚がいきなり俺の頭をポカッと叩く。


「なんだよ甚、妬んでるのか?」

「ちげーよ、バーカ。本当バカだな」

甚がバカを連発する。

「残念なイケメンだな、マジで」

わざとらしくでかいため息までつく。


「なんだよ、さっきから…」

俺がムッとしながら尋ねると、菜奈が苦笑いで言った。

「―――茗子から、貰わなかった?」

「え、貰ってねーよ。貰えるわけ無いじゃん」

菜奈に茶化すように言うと、


「渡すつもりでいたのに、茗子。」

愛梨が真顔で言う。

「―――(あんた)にだけ。」


――――えっ…?!

思わず立ち止まるー―――。



『良かったな!戻ってきて』

もしかして…あの時のチョコは…。


『あ、これ…はー―――』

茗子ちゃんが照れながら言おうとしていた言葉は…。



『春先輩に渡すんだろ?――頑張って!』

――――俺は…なんてことを…。


「ちょっと、歩道のど真ん中に座り込むの止めてくれる?」

愛梨が冷たく言い放つ。


「俺、勘違いして…た?」

ドキドキ心臓の音がうるさくなっていく。


―――期待しないように…ずっとしてたから…。


でも、屋上から出ようとして振り返ったときの茗子ちゃんの表情を思い出すと…

あの時、本当に俺に渡そうとしていたんだと…確信できた。




「ちょっと、俺…バスケ部終わるの待つわ…」

俺は甚たちと別れて、体育館に向かう。



「め…」

俺が部活が終わって歩いていた茗子ちゃんに声をかけようとすると、

「茗子っ」

先に春先輩が茗子ちゃんに駆け寄る。


―――二人は自然に並んで歩き出す。



そんな二人を見たら、足が重たくなって、動けなくなった。



俺は…また勘違いしてる?何が正しい?


―――あの時勘違いしてたせいで…もう何もかも手遅れなのか?


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