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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
237/283

航くん

「茗子っ」

バレンタインデーの日、部活を終えて一人とぼとぼと歩いていると、駆け寄りながらハルくんが声をかける。


「ハルくん…どうして居るの?」

「図書館に居たんだ、今帰り?一緒に帰ろう?」

―――同じ方角で、家が隣だとこういう時、断りようがないな…。


「うん…」


「元気ないな…、仲西となんかあった?」

ハルくんが真剣な表情で言う。

「それとも、まだストーカーに遭ってる?」


「え、ハルくんがなんでその事知ってるの?」

驚いてハルくんに尋ねる。


「クリスマスに家の前で会ったとき、聞いたんだ…仲西に。おばさん居なくて茗子一人だったから心配してたよ、あいつ。」

ハルくんが言う。

「気にしてあげてくれって、頼まれた」


――――航くん…。



「その、ストーカー…っていうか、一年生の子、航くんが捕まえてくれて…さっき謝ってくれたから…解決したの。」


――――航くん…航くん。


「そっか…良かった…」

ハルくんがホッとしたように微笑む。


「―――ハルくん、今年もチョコたくさんだね」

ハルくんが持っていた手提げの紙袋を2つにどうしても目がいってしまう。


「茗子から、貰ってないけど?」

ハルくんが悪戯っぽく笑いながら言う。


「無いもん…」

今年は…一個しか用意してなかったから。


「寂しいな」

ハルくんが、ははっと軽く笑いながら言う。


「―――あいつには、あげなかったの?」

しばらく歩いて、バス停に着くとハルくんが真顔で聞く。



――――“あいつ”が誰を指すのか…すぐに分かる。


私は、黙ったまま首を振る。


「そっか…」

ハルくんは、それ以上何も聞いてこなかった…。






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