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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
234/283

捕まえた~航目線~

「お前、どんだけチョコ独り占めする気だよ」

体育の授業が始まる前、着替えてから体育館に向かう時、

クラスのやつらが、俺をどつきながら言う。


「独り占め…って」

毎年何個かは貰っていたが、今年の数には自分でも驚いていた。

しかも、クラスの女子からの義理チョコだけじゃなくて、

本命もある…。



―――まぁ、俺の本命の人からは今年も貰えないけどな…。


曖昧に笑ってごまかしながら歩く。





「あ、やべ」

体育館に着いてから、体育館シューズを忘れたことに気づく。


「浮かれてるからだぞー」

男子にからかわれながら、俺は走って教室に取りに戻った。



教室の近くまで来ると、もうすぐチャイムが鳴るからか廊下にも誰もいない。

自分の足音が響く、


そして、隣のクラスを通りすぎた時、

―――誰もいないはずの教室から、ガタッと物音がした気がして、

俺は走るのをやめて、そっと教室を除く。



―――あいつ…!


俺はすぐに教室に入る。

すると、俺に気づいた男は、もう一つの扉から出ていってしまう。



―――逃がすかよ…!


授業の開始のチャイムが鳴り響く中、

俺は、―――ずっと捜していた男を追いかけた。


前に一度教室で見かけた男…あいつに間違いない!!



暫く廊下を走って、階段を降りて…、

気付くとそいつを裏庭に追い込んでいた。


「ごめんなさい、ごめんなさい…」

謝りながら顔を隠すように両手で覆う。


「俺に謝るな、茗子ちゃんに謝れよ!」

俺は殴りたい気持ちを抑えて、話しかける。


―――茗子ちゃんがどれだけ精神的に堪えていたか…。

どんだけいつも怯えていたか…。



「お前、一年か?名前は?」


「…はい、高山(たかやま) 春樹(はるき)、1年です…」


「茗子ちゃんのもの、盗ったな?」

「すみません…つい」


「盗撮、したのもお前か?」

「あまりに可愛くて…」



「お前、これ犯罪だぞ?しかも今持ってるそれ、それも茗子ちゃんのモノだろ…」

両手で顔を覆う時に目に入った小さな箱。

明らかに、さっき教室で盗ったものだ。


――――きっとそれは…、チョコレートなんだろう。

春先輩への…。












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