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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
233/283

チョコレートの行方

バレンタインデー当日、

クラスは朝からソワソワした空気だった。


「はい、これ」

「え、くれんの?サンキュー」

私が部活の朝練を終えて教室に入ると、

クラスの女子たちのほとんどが、航くんにチョコを渡していた。


「私も、仲西くんに」

「はい、私からもあげる」


航くんが嬉しそうにチョコを受け取る姿を、

私は、胸の中がモヤモヤしたまま、眺めていた。


「あらら、ヤキモチ?」

突然愛梨がこそっと耳元で囁く。


「うわっ」

驚いて慌ててくすぐったい耳を押さえる。


「持ってきたの?茗子」

「……うん」

鞄に視線を落としながら頷く。


―――持ってきたけど…あの状況見たら…渡せるわけないよ。





結局、昼休みも航くんはどこにも居なくて渡せず、

気づけば渡すタイミングを失ったまま、午後の授業が始まってしまった。



「航…全国大会で活躍してから…すごいモテようだね…」

体育の授業中、バスケの試合の出番待ちの私は、

同じくまだ出番待ちの愛梨に話し掛けられる。


「昼休みも一年とか三年にも呼び出されてたらしいし。」


「そっか…」

愛梨の言葉に、胸がチクッと痛む。


―――サッカーの試合から、

確かに航くんが遠い存在になってしまった気がした。



「私、放課後に渡すわ…仁科に」

愛梨が言う。

―――なんだか手が震えてる気がした。

緊張するよね…分かるよ。


「…頑張って、応援してる!」

私は、愛梨に微笑んで言う。





体育から戻り、体操服を鞄に仕舞おうとして、

私は、手が止まる。



「………無い」

「茗子?」

愛梨が私の小さく呟いた声に気づいて、聞き返す。


「チョコ…無くなってる」


心臓がバクバク音をたてる。


――――もしかして、あの…ストーカー?


「え、なんで?最近被害とか無かったよね?」

愛梨が私を心配してくれる。


――――誰なの…?チョコを返して…。





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