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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
231/283

サッカー全国大会

「こっちこっち!」

待ち合わせ場所に着くと、

彩が先に私の姿を見つけ、手を挙げる。


元旦に続いて一月二日も、私と彩は会っていた。


今日は、サッカー部の全国大会。

愛梨も菜奈も、マネージャーとして頑張っていた。



試合が始まると、

サクちゃんの姿を久しぶりに見た。


―――サクちゃんだ…。

後夜祭の事を頼んで以来、私はサクちゃんに避けられていた。

私も、傷付けてしまったからなんとなく避けていた。



―――凛ちゃんと別れたって噂、聞かないってことは…まだ付き合ってるんだよね?


サクちゃんがボールをパスした先に、航くんがいた。


―――昨日も、一緒に初詣行ったりして…。

私、航くんと前より距離が近い気がする。


それに…寝惚けてたからって抱き締められて…

それを拒むことすらしないで朝まで過ごすなんて…。

私は、どうかしてた。


―――本当にどうしたんだろう…。


「あの二人…なんだかんだいって、バッチリ息合ってるじゃん」

彩がサクちゃんと航くんを見ながら言う。

「そうだね…」


不思議だけど、こうして観客席から見ていると、

自分は客観的に二人を見ている。


二人とも、サッカーが上手だし、キラキラしてカッコいい…。



「茗子先輩?」

その時、後ろから声をかけられて振り返る。


「凛ちゃん…」

「粟野…」

私と彩が同時に言う。


「彩先輩、お久しぶりです!」

凛ちゃんが、隣にいた彩に気づいて挨拶する。


「こんなところでお会いすると思いませんでしたよー」

凛ちゃんが彩に親しげに隣に座ると、

「彩先輩も、彼氏の応援とかですか?」

皮肉っぽく聞く。


「あんたと違って、私は友達の、応援よ」

彩がイラつきながら答える。




「あぁ!もしかして仲西先輩ですか?カッコいいですもんねぇー。まぁ、“彼氏”には劣るけど」

凛ちゃんが楽しそうに言う。

彩が悔しそうに唇を結ぶ。


「順調なんだね、良かった」

―――凛ちゃんの言い方にはヒヤヒヤしてたけど、

どうやらサクちゃんとは上手くいっているようで、ホッとした。



「茗子先輩が言うと、なんかムカつきます」

凛ちゃんが私の目を見て言う。


「あ、ごめん…」

「いいですけどね、別に」

私が謝ると、凛ちゃんがサッカーをするサクちゃんを見つめながら言う。



私も、またサッカーの試合に目を向ける。




―――試合は、3対1で西高が勝った。


試合終了後、

拍手が鳴り止まない観客席に、サッカー部員が駆け寄ってくる。



こんなに遠くからでも…航くんと目が合った気がした。



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