初夢?~航目線~
夜中寒いと思っていたのに、
ふと気が付くとなんだか暖かくて心地よい―――、まるで人肌の温もりみたいな…。
こんな毛布があるんだな…。
「あったけぇ…」
そんな夢を見ていた。
と、思っていたが、目を覚ましてから、それが夢だけではないことに気付いた。
「……え…」
驚きで、声がでない俺に、困ったように茗子ちゃんが笑う。
「おはよう…航くん」
――――なんだ、この状況は!?
茗子ちゃんから…俺の寝ているところに…?いつ?なんで?
夜這い…なわけないよな…。
俺が寝ボケて何かしでかしたのか…。
そうに決まってる…。
ガバッと抱き枕のようにしていた身体を離す。
「ごめん…」
とりあえず謝る。
「俺…覚えてなくて…」
――――信じてもらえるか?
こんな、あまりにも都合の良い言い訳を。
「大丈夫」
茗子ちゃんが赤くなりながら言う。
そんな顔見せられると…俺が大丈夫じゃないんだけど。
「俺のことなんか、突き飛ばしてくれたら良かったのに」
俺が苦笑いで自虐的に言うと、
「え…?」
茗子ちゃんが驚いた顔をした。
まるで、思い付かなかった…とでもいうように。
「おはよ、二人とも朝早いねー」
「もう起きてたんだー」
彩と愛梨が起きてきて、なぜか二人して顔を背ける。
「あれ、もしかしてお邪魔しちゃった?」
「してねーから。イチイチからかうな!」
愛梨の言葉に、俺がキレる。
――――また、勘違いするところだった。
さっきの茗子ちゃんの表情が、まるで俺に恋してるみたいな錯覚に陥る。
あり得ないって、
茗子ちゃんの心にはいつだって…春先輩しかいないんだから。