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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
227/283

眠る場所

楽しく過ごしていた私は、ふと時計に目をやる。

「みんな、時間大丈夫?もうすぐ20時だけど?」


「今日は、茗子が寂しがらないように皆で泊まるからー」

菜奈が明るく言う。

「え…泊まる?うちに?」

「うん!」

私が驚いていると、愛梨が明るく頷く。

「ちゃんとパジャマ持ってきたよ?」

彩も楽しそうに言う。


――――嬉しい…みんな…ありがとう。


「俺たちも、泊まるから」

甚が航くんを見ながら言う。


「えっ?」

――――それは…どうなの?


私がなんとなく不安そうにしていると、

「いいじゃん、友達だろー」

甚が言う。


「そうだけど…」




結局時間は過ぎていき、

夜遅くまで盛り上がっていたみんなも、

徐々に横になり、勝手に眠りだした。


カーペットの上に、甚と菜奈が雑魚寝。

ソファーに彩と愛梨が寝ていた。


――――どうしよう…。

後片付けを一緒に手伝ってくれた航くんが、

リビングに戻ってくると寝る場所がなくて困っていた。



「良かったら、私の部屋使って?」

「えっ」

私の提案に、航くんが大きな声で驚く。


シーッ、人差し指を口に当てて言うと、

航くんが小声になって言った。


「良いよ、俺…帰るから」

「こんな時間に?」

時計は夜中の1時を指している。

バスもないから、帰れないはず。


「私はお母さんの部屋で寝るから、使って?」


「…ありがとう」

航くんが何だか観念したように言うと二階へと上がる私の後ろをついてくる。


私は自分の部屋に、航くんを案内する。


「今日はありがとう、おやすみ」

航くんが、ドアを閉める前に笑顔で言う。


「楽しかったね。来年もこんな風にクリスマスパーティーしたいな」

――――楽しかった、すごく。

私も笑顔で言う。


航くんの、ドアを閉める手が止まる。


――――?

私が航くんの顔を見上げた瞬間。


「茗子ちゃん…」

航くんが言いながら、私の腕を引いて抱き寄せる。


――――――航くん。



「………」

「………」


お互い、何も言わなかった。

何も言わずに、ただ…抱き合っていた。







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