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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
226/283

二人きりの時間

私は自分の部屋に戻ると、

まず携帯電話でチャットアプリを使って、

今日のクリスマスパーティーに来るはずの航くん以外の皆をグループ設定して、メールする。


『夕方6時からだよね?もう航くんが来たんだけど?』


私が送ったあと、暫くしてピコンピコンと着信音が鳴る。


菜奈『え、早いね!私は今買い出し中。』


甚『同じくー』



彩『私は今家を出るところだよー。航、早すぎ!!笑』


愛梨『私はまだ支度してる!約束の時間までまだあと一時間半あるじゃん』


――――そうだよね、まだ一時間半前なのに…。

時間勘違いしてたのかな?


私はドライヤーで髪を乾かしながら、考えていた。


――――それになんか、挙動不審だったような…。




メイクも終わり、キッチンに行き、

食器を用意していると、航くんがリビングからキッチンに来る。


「なんか、手伝おうか?」

「ううん、手伝ってもらうこと何もないよ。」

―――料理とか惣菜とか買ってくから要らないって言われて、結局サラダくらいしか作ってないし。


「あ、これ…」

航くんが持ってきてくれた飲み物とお菓子を差し出してくれる。

「ありがとうー」

私が受け取る。



「―――おばさん、今日からアメリカなんだって?」

「あ、うん。」

――――菜奈から聞いたのかな?


「困ったことあったら、連絡して?」

航くんが心配そうに言う。


「大丈夫だよ、最近は何も被害に遭ってないし」

「そっか…」

私が安心させようと明るく言うと、航くんがホッとしたように言う。


「色々、ありがとう…」

航くんが座っているソファーから、

無意識に一人分の隙間を開けて、私は座りながらお礼を言う。



「え?」

航くんが私のお礼の言葉に、驚いた顔をする。


「たくさん心配してもらって、元気づけてくれて…感謝してる」

照れ臭くて、うつ向いて本音を話す。


――――私が怖がってた時、側で安心させてくれた。


「………」

――――あれ?


航くんが何も言ってくれないから、私は不思議に思って顔をあげる。


――――え…。

ドキンと心臓が高鳴る。


航くんは、なんだか熱を帯びた目で私を見つめていた…。



「茗子ちゃん…」

二人の座っていた間の距離を縮めるように、

航くんが近付く。


――――これって…。


私は、身体が動かない。


航くんが私を見つめたまま、優しく頬に手を添える。


――――二人の唇が触れそうになる。



その時―――――、

ピンポーンと呼び鈴が鳴り、反射的にビクッとして、

お互い離れた。


「あ、誰か来たみたい…」

私は航くんに言いながら、すぐに玄関へと走る。


――――ちょっと待って…今の、何?


ドキドキうるさく鳴りやまない心臓を押さえて、

玄関のドアを開ける。



「メリークリスマース」

楽しそうに彩が家に入ってきた。


「あ、嘘…私邪魔だった?」

彩が私の顔を見て申し訳なさそうに言う。


「え、なんで?」

―――むしろ、助かったよ…。


「茗子、顔赤いー!航となんか盛り上がってたの?」

耳元でこそっと彩が言う。


――――うわ…。顔に出てる?恥ずかしい…。

慌てて両手で顔を隠す。


――――さっきの…なんだったんだろ…。

危うく流されてキスしそうになってたよ…。




それから暫くして、全員が揃うと、

楽しいクリスマスパーティーが始まりました。




私も、皆とワイワイやっている時は、

さっきの出来事を思い出すこともなく楽しく過ごしていた…。
















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