パーティーの前に
――――中島くんが…私を?
「今、付き合ってる人いないだろ?」
「いないけど…」
「じゃあ少し考えてみて?」
「――――ごめん…」
中島くんと付き合うなんて、私には考えられない。
「だよな…相田は澤野兄弟レベルの男じゃなきゃ、対象外だよな」
中島くんが傷付いた顔をして自虐的に言う。
「そういうことじゃないよ…」
「じゃあ、いいじゃん…付き合ってよ。」
中島くんに返事を迫られて困っていると、
「おい、やめろよ中島」
いつのまにかハルくんが目の前に立っていた。
「ハルくん…」
「春先輩…」
「茗子、嫌がってるじゃん…何話してた?」
ハルくんがいつになく険しい顔で中島くんを問い詰める。
私はその隙に、走って家に戻った。
――――ハルくんが、何で来るの?どうして助けてくれるの?
走ったからか、鼓動が早くてうるさい。
「茗子、大丈夫?」
ハルくんが家の前で追い付いて、私に言う。
「うん、ありがとう…」
私はハルくんを振り返らずにそれだけ言うと、
家の中に逃げ込むように入る。
―――――中島くんが…私をそんな風にみてたなんて…。
仲良くなれたと思ったのに…また…。
友達だと思ってたのは…私だけだった…。
ジャージを脱いで、シャワーを浴び、
赤いワンピースに着替える。
―――これから、クリスマスパーティーなのに…。
なんだか…気持ちがあがらない…。
その時、
ピンポーンと呼び鈴が鳴った。
――――え、まだ昼過ぎなのに…約束の時間よりまだだいぶ早い。
それでも寒いなか、待たせるのも気の毒だし、
私はまだ濡れた髪のまま、玄関に向かう。
「航くん…」
ドアを開けると、航くんが一人立っていた。