沖縄で知ったこと
季節は秋になり、
私たち二年A組とB組は、沖縄に修学旅行に訪れていた。
「茗子!!」
首里城を見学していると、
菜奈と彩と甚のいるグループと遭遇した。
「菜奈!」
「茗子、私…話してないことあったわ」
菜奈が照れながら隣にいる甚をチラッと見て、言う。
「え、菜奈もしかして…」
甚と付き合えることになったの?
全部言うまでもなく、菜奈が幸せそうに頷く。
私は思わず、菜奈に抱きついた。
「良かった…」
私は、なぜか自分のことのように嬉しかった。
二人とも、私の親友だし、幸せになって欲しかったから。
「ありがとう、茗子」
菜奈が言う。
「あれ?ところで航は?一緒じゃねぇの?」
甚が照れながら話を変える。
「航くん?違うグループだから分からないな…」
私が甚に言うと、隣にいた愛梨が寂しそうに付け足す。
「他の女子にとられちゃったのよ…。航は人気だからねー」
「へぇ、残念なイケメンなのにな~」
笑いながら甚が言う。
「じーんー?航がかわいそうでしょー?」
菜奈がこの場に居ない航くんを庇う。
「茗子、最近また仲良くやってるみたいじゃん?」
甚がなぜか面白そうに言う。
「え、うん。航くん優しいよね…。彼女さんに悪いなと思いながらも、ついその優しさに甘えちゃうっていうか…」
私が最近の航くんを思い出しながら正直な気持ちを言うと、
「茗子、今、彼女…とか言った?」
菜奈が驚いたように言う。
「え、うん」
「彼女、居ないよ?あいつ、夏休みに別れたから。」
甚も驚きながら言う。
「え、茗子…知らなかったの?有名でしょ…」
愛梨も唖然として言う。
「航も、茗子には話したって言ってたのに…」
おかしいな…と甚が首をかしげる。
――――ん?彼女と別れた?
「えっ、なんで?」
私が一テンポ遅れて驚くと、
「――――さぁ?それは…知らないけど…」
急にみんな口を閉ざす。
航くん…別れてたんだ…。
自分もつらくて悲しかっただろうに、
私なんかに優しくしてくれて…。
本当に、優しいな…。
首里城の中を、
結局愛梨と菜奈と甚と彩と見てまわりながら、
お互い次の目的地に向かうため、別れた。