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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
215/283

お願い~咲目線~

言われた通り、俺は後夜祭に参加した。

――――いや、参加したというより…待ち合わせされた場所に向かったというのが正しい。


「咲くん!」

待ち合わせを要求してきた粟野が、

ぱぁぁっと明るく笑顔になって、俺の前まで走ってくる。


「良かった…来てくれないかと思った…」

しおらしく言う。


――――マジうぜぇ。思ってもないくせに。


「なんなの?」

あえて目をあわせずに、言う。


「私…咲くんが好きなの。私を…彼女にしてください」

「いいよ」

目をあわせずに答える。

――――分かってた、こいつがなんで呼び出したのか。


「え…」

粟野が驚いた反応をした。

「なんだよ、そっちの望み通りだろ?」

俺が言うと、

「…うんっ」

作り笑顔で、粟野が返事をする。



「じゃあ、俺帰るわ」

俺が歩き出すと、

「え、じゃあ私も…」

粟野が慌てた様子で、ついてくると、俺の腕にひっついた。


「うぜぇな、やめろよ」

「だって、彼女だもん!?」

嬉しそうに、粟野が言う。


『サクちゃん』

茗子の声が聞こえた気がした。

――――茗子から、こんな風に腕を組まれたこと…無かったな…。




――――茗子が俺にした、初めてのお願い…。


粟野(こいつ)と、付き合えってこと…。



――――残酷な話だ…。

好きな女に、こんなお願いされるなんて…。


そんな“お願い”でも、茗子の為になるなら…なんて、

叶えようとする俺は…。

本当にバカだ。






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